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努力する自分を決して否定しないゆりやんレトリィバァ 映画出演作で光るその内面

著者:関口 裕子

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登場人物らを見守る存在として配役されたゆりやん

(c)『スパゲティコード・ラブ』製作委員会
(c)『スパゲティコード・ラブ』製作委員会

 梅子を演じるゆりやん本人は、この13人の誰とも似ていないように感じる。

 子どもの頃から憧れであった芸人になるため、大学の単位を3回生までにすべて取得。NSC(吉本総合芸能学院)に入学するが、その入学金もアルバイトをして貯め、用意していた。NSCは首席で卒業。卒業生による「NSC大ライブ2013」にも優勝し、優勝特典であるその年の4月以降のスケジュールがすべて仕事で埋められた手帳を手にし、順風満帆なスタートを切った。

 挫折や失敗もあるというが、それは自己否定的なものではなく、「どうやったらウケるのか?」というネタについての悩み。芸人であるという根本は揺らがない。そんなゆりやんが、自己肯定できる確かなものをめぐって、グラグラしっぱなしの『スパゲティコード・ラブ』の世界を構成する一人となっている。

『スパゲティコード・ラブ』は丸山監督のキャスティングがとても興味深い。たぶんゆりやんは役柄同様、そんな登場人物らを見守る存在として配役されたのではないか。

丸山監督がゆりやんに“演じさせよう”としたものは何だったのか

 ゆりやんは今年、話題を呼んだTBS日曜劇場「ドラゴン桜」に、英語の特別講師である由利杏奈として登場した。由利杏奈は生徒たちに「(英語が)うまくなるコツは適当とモノマネやで」とオーバーアクトぎみに語る。

 その自信に満ちたさまは、リスニングに構える生徒たちを一段引き上げることになった。この英語勉強法は、自身が学生の時に自己流にやっていたものなのだそう。

「適当」。もちろんゆりやんは適当な人物ではない。適当ではないが、そんな風に肩の力の抜くことこそ、人生経験を積んでもなお、かなり難しいことのように思う。

「アメリカズ・ゴット・タレント」でインパクトを残しても、米国での仕事につながった気配はまだない。彼女自身も試行錯誤なのだろう。でも「劇場に出るのが楽しくて仕方ない」というゆりやんは、そこで面白い芸を披露しようと努力する自分を決して否定することはない。

 丸山監督がそんなゆりやんに“演じさせよう”としたものは何か? そんな風に考えながら観ると、『スパゲティコード・ラブ』はかなり面白い。13人の個性ある若手俳優の現代の在りようとしても、見逃したくない作品であるし。

『スパゲティコード・ラブ』 11月26日(金)渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開 配給:ハピネットファントム・スタジオ (c)『スパゲティコード・ラブ』製作委員会

◇関口裕子(せきぐち・ゆうこ)
映画ジャーナリスト。「キネマ旬報」取締役編集長、米エンターテインメントビジネス紙「VARIETY」の日本版「バラエティ・ジャパン」編集長などを歴任。現在はフリーランス。

(関口 裕子)