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有名映画監督一家が表現する“ホテル愛”とは 非日常の空間を疑似体験できる映画3選

著者:関口 裕子

『SOMEWHERE』:「シャトー・マーモント」(米国、ロサンゼルス)

 ロサンゼルスの高級ホテル「シャトー・マーモント」を舞台にした『SOMEWHERE』(2010)もまた、コッポラ家とホテルをあぶり出す作品だ。

ロサンゼルスのホテル「シャトー・マーモント」【写真:Getty Images】
ロサンゼルスのホテル「シャトー・マーモント」【写真:Getty Images】

 中年に差しかかったハリウッドスターのジョニー(スティーヴン・ドーフ)は、前妻と離婚後、「シャトー・マーモント」で一人暮らしを謳歌している。パーティーや情事に明け暮れるも、その暮らしの実態は空虚なもの。ある日、ジョニーは11歳になる一人娘クレオ(エル・ファニング)を預かることに。未来を信じて揺らがない娘とのつかの間の日々の中で、ジョニーは失った何かの輪郭を掴み始める……という物語。

「シャトー・マーモント」はフランスのロワール渓谷にある王室の保養地、アンボワーズ城を模して1929年に造られた。当初はアパートメントだったが、1932年にホテルへと業態を変え、現在は著名人の長短期滞在先として、ニューヨーカーのハリウッドでの住まいとして利用されている。

 ソフィアもまた顧客の一人だ。米ナパバレーに拠点を持つコッポラ家。フランシスがロサンゼルスで撮影を行う際は、家族でこのホテルに暮らした。そんな愛着のある場所で撮影を行った『SOMEWHERE』の中に、実体験がないと描けないであろう描写がある。

 それはクレオがエッグベネディクトの材料をルームサービスに頼むこと。まず普通の11歳の子どもはルームサービスの存在を知らない。ましてや、できた料理や飲み物を注文ではなく、材料の購入を頼むなど思いもよらないことだろう。ソフィアは、陰りが差し始めたハリウッドスターの子どもというクレオの特殊な状況を、このルームサービスのシーン一つで描いて見せた。

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