インタビュー

スイーツ激戦区の人気店 パティシエールは元高校職員 人生を変えた先輩の言葉とは

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 直子

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忘れないホストマザーのフルーツケーキに癒された寂しさ

 卒業後は個人店やホテルで修行を積み、2006年には日本最大級のコンクール「ジャパンケーキショー東京」のコンフィズリー&クッキー部門で連合会会長賞を受賞。2009年に地元で「ポッシュ・ドゥ・レーヴ芦屋」を開業しました。

阪神芦屋駅からすぐの「ポッシュ・ドゥ・レーヴ芦屋」。開店からひっきりなしに人が訪れる【写真:Hint-Pot編集部】
阪神芦屋駅からすぐの「ポッシュ・ドゥ・レーヴ芦屋」。開店からひっきりなしに人が訪れる【写真:Hint-Pot編集部】

 伊東さんが作るお菓子は、食べる人を幸せな気持ちでスッポリ包んでくれる魅力があります。そこには「お菓子作りが好き」という原点とも言える思いが込められているのです。

「同じレシピであっても、味は作り手によって大きく変わります。ですから、お菓子作りが好きという気持ちを失ってしまうと、誰の心にも届かないものになってしまう。焦ったりイライラして作ると、乳化状態が微妙にずれたりとミスに繋がったりもするので、スタッフに試食してもらっても『おいしい?!』という言葉が出ないんです。お菓子って正直だし、深いなと思いますね」

 そんな自身の経験も踏まえ、一緒にお菓子を作るスタッフには「心のないスイーツは作らないでね」と声を掛けていると言います。

「食事は『お腹が空いたー!』と召し上がるけれど、スイーツは食後のデザートとしてちょっと満たされたいとか、癒やしが欲しいとか、日常の疲れた場面で召し上がる方が多いと思うんです。スイーツは心を満たすもの、一期一会でお客様に届くもの。ですから、製造スタッフにも接客を経験して、お客様の笑顔や反応を直接感じてもらうようにしています」

 伊東さんもスイーツに癒された経験の持ち主です。大学生の頃、仏ブルターニュ地方へ語学留学した時、ホストマザーが学校へ持たせてくれた手作りスイーツが今でも忘れられません。

「授業の合間に食べなさいって、フルーツがたくさん入ったケーキをわざわざ焼いてくださったんです。言葉が通じなくてホームシックになりかけていたので、授業の合間にいただいた時、おいしさと温かさでホッコリしたことを鮮明に覚えています」