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子どもの障害は隠さない ダウン症児を育てる元スキー選手の考えに美馬アンナさんが共感

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 直子

障害を隠さず伝えることで下がるハードル「気を遣わせてしまうのが…」

初対面とは思えないほど意気投合する美馬アンナさん(写真右)と須貝未里さん【写真:荒川祐史】
初対面とは思えないほど意気投合する美馬アンナさん(写真右)と須貝未里さん【写真:荒川祐史】

司会:おふたりとも出産後に形成不全やダウン症について学びを深めたそうですね。

未里:はい。ダウン症とは何か、根本的なことを学びながら、何ができて何ができないのか、どんなケアが必要なのか、親は何をしてあげられるのかなどいろいろ調べて、ダウン症の子どもがたどるであろう道を必死で想像しました。その結果、できることは何でも一緒にやってみよう、という気持ちになりました。

アンナ:もし壁にぶつかった時にどう声をかけよう、何ができるだろうと考えたり調べたり。受験勉強より頑張ったんじゃないかというくらい、短期間に相当量の調べ物をしました(笑)。今も息子の障害についてよく知らない人たちの中に入っていく時、「どう思われるのかな」と考えますし、どんなことを言われても立ち向かおうと思いつつ、どう乗り越えようかという予防線を常に張っています。

未里:傷付く準備はいつもしていますね。こう言われるだろうな、こう思われるだろうな、こういう体験をするだろうなという想像はずっとしていて、それと同時に心の準備をしている感じです。

アンナ:周囲の人の目は避けられない道ですよね。特に子どもの反応はストレートなので、息子に手がないと気が付くと、本当にないと確かめるまで二度見、三度見どころか、追いかけてくることもあります。その後の反応は「ママ、この子手がない!」と大声で報告する子と、「あ、ないんだ」と自分の中に飲む込み子に分かれる。これは避けられないことですが「はぁ……」と気が重くなることもあります。

未里:その気持ち、分かります。私の場合、会う人には先に「この子、ダウン症なんです」と言うようにしています。「ダウン症なのかな? どうかな?」と探り探り接してこられたり、気を遣われるのも嫌なので、サラッと言ってしまうことにしました。それで理解してもらった上で一緒に遊ぶことができたら、お互いいいのかなって。言ってしまうと、私の気持ちが少し楽になる部分もあります。「あ、言っちゃった。そういうことだからよろしく!」みたいな(笑)。

アンナ:激しく同意です!(笑) 言ってしまうと楽ですよね。障害について触れていいのか探られている方がつらいというか、気を遣わせてしまうのが申し訳なくて。私も息子の手の悩みだったり、こうしたいという私の気持ちを共有してもらうことにしています。お子さんが「何で手がないの?」と聞いてきた時、返事に困ったら私が答えるので言ってくださいね、と伝えています。手がないことは触れていけないことではないんだと分かってもらった方が、人と人としていい関係が築けるのかなと思います。

未里:私も同じ思いです。障害は違っても、似たような経験はしていますね。

<中編に続く>

◇須貝未里(すがい・みさと)
1988年生まれ、秋田県出身。アルペンスキー選手として活躍し、2011年から3年間は日本代表チームに所属。ワールドカップなどにも出場し、2014年の「全日本選手権」ではスーパー大回転で優勝した。同年に引退し、コーチやトレーナーとして活動。2019年にスキークロス日本代表の須貝龍選手と結婚。2020年に長男レンくん、2022年に次男コハクくんを出産した。

○取材協力:Roots+Wings Creative Studio

(Hint-Pot編集部・佐藤 直子)

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