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オードリー・ヘプバーンの光と影 希代の大スターが晩年に静かな生活を求めた理由とは

著者:関口 裕子

夫婦生活で求めた“父性” 得ることができなかったものを与える晩年

 両親の離婚で父を失ったオードリーは、恋人のタイプとして父親的な要素を持つ人を選ぶ傾向にあった。最初の配偶者だった俳優のメル・ファーラーも、2番目の配偶者だった医師のアンドレア・ドッティも包容力のあるタイプ。だが、結婚生活はうまくいかなかった。

最初の配偶者だった俳優のメル・ファーラーとの間には長男ショーンが生まれた【写真:Getty Images】
最初の配偶者だった俳優のメル・ファーラーとの間には長男ショーンが生まれた【写真:Getty Images】

 過剰に求められる父性は夫婦生活をいびつにするのかもしれない。オードリーに最期まで連れ添ったパートナーは、往年のハリウッド俳優マール・オベロンの最後の配偶者で俳優のロバート・ウォルダース。彼とは籍を入れず、オードリーががんで逝去するまで添い遂げた。

1988年に米ニューヨークで行われたユニセフの親善大使就任会見。パートナーのロバート・ウォルダースとともに出席【写真:Getty Images】
1988年に米ニューヨークで行われたユニセフの親善大使就任会見。パートナーのロバート・ウォルダースとともに出席【写真:Getty Images】

 もしオードリーが戦争に翻弄されることがなかったら、母からの言葉の暴力がなければ、そして父に捨てられたという喪失感がなければ、彼女の人生はどんな風になっていただろうか? 世の中への対処方法を知らない、人生に迷い続けてきたオードリーだからこそ、あの『ローマの休日』が完成し、輝かしい俳優人生へとつながったのだと思う。

 晩年のオードリーは、ユニセフでの活動は別として、限りなく出演作品を絞り、家族との静かな時間に充てていたと息子や孫は証言する。得ることができなかったものを、与えられるのではなく、与える立場で実現しようとした結果なのではないだろうか。

『オードリー・ヘプバーン』TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国公開中 配給:STAR CHANNEL MOVIES (c)2020 Salon Audrey Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

(関口 裕子)

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