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「いただきます」を誰に伝えるのか分かった…母娘が“鶏を絞めてさばく”体験 心境の変化は

著者:小田島 勢子

「今日の出来事もいただく命も、いただきますの心も大切にしようね」

 夕日に向かい車を走らせ家へ帰る間、私と娘はこの日の出来事を話しました。

私「今日はどんな一日だった?」
娘「楽しくて悲しい日だった」
私「何が楽しかった?」
娘「お友達や動物とたくさん遊べたこと。鶏を捕まえるお手伝いができたこと」
私「悲しかったのはなぜ?」
娘「鶏が血を流して痙攣して、死んだこと」
私「嫌だった? 怖かった?」
娘「嫌とか怖いとかではなく、鶏が死ぬのが悲しいと思った」
私「一緒に買い物に行った時に、パックになって売られている鶏たちは場所や方法は違うけれど、すべて今日のように処理されて、肉となって売られているよね。これがほとんどの人たちに見えていないところ。普段お肉を見て、悲しいと思う?」
娘「悲しいとは思わない。おいしそうだって思う」
私「そうだよね。お肉はおいしいもんね。今日の鶏のお肉をお手伝いのお礼に分けてくれたよ。食べてみたい?」
娘「うん、大切に食べたい」
私「今日の出来事も、いただく命も、いただきますの心も大切にしようね」

 その日の夕食では、さばいて数時間も経たないレバーとハツ、砂肝をあぶり、上質なお塩をほんの少しつけて、家族で分け合って食べました。その味の何とおいしかったことか……。

経験によって訪れた意識の変化 「必要以上に食べていたのではないか」

 この日を境に、私の中で確実に意識が変わりました。これまでの食事を振り返り、「私たちは普段から肉を必要以上に食べていたのではないか」「“必要以上”と感じる部分が命の搾取につながっているのではないか」、そう思うようになったのです。こう感じてからは、実際に必要以上の買い物をしないよう心がけるようになりました。

 また、心からおいしいと思える食事は、少量で満足できて、味付けも実にシンプルに。「余計なものはいらない」ということも実感しました。

 今回の大きな学びから家族で至った結論は肉を食べない選択ではなく、これまで以上に足るを知ること、残さないという意識を持つことでした。地球規模で考えるととても小さなことだけれど、我が家のフードロスを限りなくゼロにするよう子どもたちと一緒に取り組んでいきたいと思います。

 命を捧げてくれたすべての鶏たち、愛情込めてその鶏たちを育てたギルバート一家に感謝を捧げます。

 そして、自らの思いと選択でヴィーガン(完全菜食主義者)として暮らす人や環境と動物のより良い未来に情熱をかけて活動する人、食の生産者といったすべての人に対し、今は尊敬の気持ちでいっぱいです。

(小田島 勢子)

小田島 勢子(おだしま・せいこ)

ナチュラリスト。結婚を機に2004年に南カリフォルニア州へ移住し、3人の女の子を米国で出産。ロサンゼルスの片田舎でバックヤードに鶏たちと豚のスイ、犬のトウフとともに自然に囲まれた生活を送る。母になったことをきっかけに食や環境の大切さを改めて感じ、できることからコツコツと、手作り調味料や発酵食品、スーパーフードやリビングフードを取り入れた食生活をメインに、食べるものは「できるだけ子どもと一緒に作る」「残さない」がモットー。2015年に「RUSTIC」を設立。日本で取得した調理師の知識や経験を生かして食のアドバイザー、ライフスタイルのコーディネーターとして活動。日米プロスポーツ選手やアクション映画俳優の身体作りのアドバイザー、みそ、お酢、漬け物など発酵食品作りの講師、創作料理のケータリングなど幅広い分野で活躍。
https://rusticfarmla.com/

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