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からだ・美容

ビジネスや政治の世界にも浸透 「セクシャルウェルネス」「フェムテック」の基礎知識

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:OliviA

「セクシャルウェルネス」と「フェムテック」について知る(写真はイメージ)【写真:写真AC】
「セクシャルウェルネス」と「フェムテック」について知る(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 昨年に「Hint-Pot」で連載した性に関するお悩み相談。ラブライフアドバイザーのOliviA(オリビア)さんによる優しくも鋭い回答は、老若男女を問わず多数の読者から大きな反響をいただきました。そこで待望の第2シーズンがスタート! 今回のテーマは、昨年よりも耳にする機会がぐっと増えた「セクシャルウェルネス」と「フェムテック」です。ビジネスや政治の世界でも重要なキーワードになり、今さら聞けない雰囲気も少し漂い始めています。この機会にしっかり学んでみませんか?

 ◇ ◇ ◇

若い世代に向けたものではない言葉 すべての年代の女性にとって大切

【今回のお悩み】
「仕事で『セクシャルウェルネス』と『フェムテック』という言葉をよく聞くのですが、これは一体どういう意味なのでしょうか? いつか調べようと思っているうちに、ネット上の関連記事が増えすぎてどれを見ればいいのか分からなくなってしまいました」(既婚・40代男性)

 このご質問は男性からですが、ビジネスチャンスがある新しいマーケットだと認識されているのでしょう。女性向けのサービス開発プロジェクトなどで耳にされたのかもしれませんね。

 参入する企業は確かに増加しており、私も企業研修を担当する機会が増えています。そこで、どのような商品にニーズがあるのか聞かれるようになりました。また政治の世界でも「フェムテック振興議員連盟(議連)」が発足するなど、この2年で活発化しています。

 古くから取り扱う企業もあれば、大事であると考えて新規参入する企業もあります。確かにビジネスチャンスではありますが、性の健康はとても大事なことなので、一過性のブームにならずに定着していくといいなと思っています。

 ただし「セクシャルウェルネス」と「フェムテック」という言葉自体は比較的新しいため、若い世代に向けたものと思われがちです。しかし実は、更年期ケアもフェムテックに含まれており、すべての年代の女性に関わっています。どちらも性科学にまつわる業界でとても身近な言葉であり、考え方です。

 一般的な認知が足りているかといえば、やはり微妙なところ。株式会社TENGAは今年6月、「フェムテックとセクシャルウェルネスに関する意識調査」の結果を発表しました。20~50代の男女計800人の回答をまとめたもので、それによると「フェムテック」という言葉を知っている人はごく一部の約2割。関連サービスや商品の利用経験率は7.7%という結果でした。

「セクシャルウェルネス」とは性的な面が“健康な状態”であること

 それではまず、「セクシャルウェルネス」からご説明しましょう。WHO(世界保健機関)の定義を分かりやすく説明すると、セクシャリティについての自認も含めて、性的なことに対して、身体的、感情的、精神的、社会的に“健康な状態”であることです。

「セクシャル」は「性的」「性生活」、「ウェルネス」は「健康」という意味です。しかし、「セクシャルヘルス」ではなく「セクシャルウェルネス」とされているのは、「ヘルス」が体のみの健康を指す言葉だから。「ウェルネス」はそこに満足度や充足度など、感情面の健康を含んでいます。

 例えば、あらゆる性的指向を持つ方々が差別を受けずに生活できるということもセクシャルウェルネスの考え方。体の面での健康だけでなく、感情面や精神面、パートナーとの関係性なども含めた“満足感の高い状態”がセクシャルウェルネスという考えです。