仕事・人生
「笑っていいとも!」でカミングアウト 自分らしさ貫くKABA.ちゃん、人生を変える瞬間に導いた家族の言葉
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タモリさんの優しいリアクションは家族と同じだった

結局dosは約1年で活動休止。その後、私はSMAPさんの振付などを担当していました。
ちょうど同じ頃、私は家族に性同一性障害であることをカミングアウトしました。小学6年生のときに両親が離婚するなど少し複雑な家庭環境でしたし、いつも寡黙な父になんて言われるかなと緊張しましたが、「人に迷惑をかけないように生きなさい」と背中を押してくれて。私は自分のせいで家族が傷つくのは嫌だと思っていたのですが、父も母も兄弟も「そんな弱い家族じゃないでしょ。全然気にせんよ」と笑顔で言ってくれたんです。
今度テレビの番組に出演したら、自分らしくあることを大切にしたい――。そう思い始めていた矢先に「笑っていいとも!」出演の話が舞い込んだのです。そして2002年の番組内で恋愛についての話題になり、タモリさんから話を振られたとき、私の頭の中にふと家族にかけられた言葉が浮かんできて。背中を押されるように「好きな相手は男性です」と言ったら、タモリさんが家族と同じようなリアクションで優しく「俺はそうじゃないかと思っていたよ」とフォローしてくれました。
「自分らしくあっていいんだ。自分らしくあることは間違いじゃないんだ」。たどり着いた答えは、中学生のときも、ニューヨークに留学したときも、そしてタモリさんの言葉に促されて番組内でカミングアウトしたときも同じでした。
私の人生を変え、大きな意味を持たせてくれた「自分らしく」という言葉。性別はもちろん、国籍も年齢も何もかもを超えて、すべての人の人生に共通する大切なものだと確信しています。
タレント・振付師。福岡県生まれ。アイドルになるためにダンスを始め、18歳で上京。20歳には単身渡米しニューヨークでダンスの技術を磨く。1996年にdosのメンバーとして芸能界デビュー。「日本レコード大賞」「日本有線放送大賞」など数々の新人賞を獲得。タレントとしてバラエティ番組などで活躍し、振付師としても数多くの著名なアーティストや企画の振付を担当。2002年に性同一性障害を公表し、2016年に性別適合手術を受け女性に戸籍変更。
(Hint-Pot編集部・砂坂 美紀)