からだ・美容
痩せ型なのに脂肪肝? 内臓脂肪の溜めすぎは大きなリスクに 対策を医師に聞いた
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医薬品による助けを借りるのも一案

自分でカロリーや食事内容をコントロールできない場合は、医薬品の助けを借りるのもいいでしょう。
昨年発売されて大きな話題を呼んだ「アライ」に代表される、「オルリスタット」という成分を含む市販薬の例を挙げましょう。オルリスタットが膵臓から分泌される消化酵素リパーゼを特異的にブロックすることにより、食事由来の脂肪の分解・吸収が抑制されます。結果として、食事に含まれる脂肪の約25%が便として体外に排出され、体重が減少するエビデンスが立証されています。
オルリスタットの市販薬は、薬剤師から対面で購入する必要のある「要指導医薬品」で、誰もが服用できるわけではありません。
主な条件は「腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上、特定の健康障害等を有していない、購入前1か月の生活習慣改善の記録(少なくとも週1回は腹囲、体重、食事/運動への取り組みの有無を記載)」などです。
油便が心配になる方も多いようです。その場合は、オルリスタットとキトサン成分を含むサプリメントを併せて食事と摂取すると油便になりづらくなるという可能性も、動物実験の結果から示唆されていますので検討してみましょう。
油が多く排泄されるのであれば、脂肪分の多い食事を恒常的に取ってしまっていることが一番の原因です。インパクトが強いことから、「こんなに高脂肪な食べ物を食べていたのか」と食生活を見直すきっかけになるはず。お腹周りが気になり、高脂肪な食生活に心当たりのある方は、活用してみるといいでしょう。
日本肥満学会名誉会員、結核予防会総合健診推進センター所長。日本内科学会認定医・指導医、日本糖尿病学会指導医・専門医、日本肥満学会指導医・専門医。1971年、東京科学大学(旧東京医科歯科大学)卒業、第一内科勤務。都立墨東病院内科、東京逓信病院内科部長、副院長を歴任。東京医科歯科大学で臨床教授を務め、後進の教育にも注力。専門は糖尿病、肥満症、内分泌学で、食事療法や運動療法などを軸にした治療法を展開。
◇古井祐司(ふるい・ゆうじ)
東京大学未来ビジョン研究センター特任教授/自治医科大学客員教授。東京大学大学院医学系研究科修了、医学博士(2000年取得)。専門は予防医学、社会保障政策。30代で過疎地の出前医療に魅せられ、基礎医学から予防医学に転向。予防医学を社会実装するヘルスケアベンチャーを創設し、11年間の企業経営の経験を持つ。2015年からは経済財政諮問会議専門委員として、政府の骨太方針の策定及び評価過程にも関わる。
(Hint-Pot編集部)