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習い事を「やめる」「続ける」判断はどうしたらいいのか 子どもの専門家が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:鎌田 怜那

無理はさせず「いったん休む」選択を

 もし、園・学校生活が送れないほどの状態になっていたら、習い事は考え直したほうがいいかもしれません。「起きられない」「寝られない」「食べられない」「感情がコントロールできない」「体調不良が続く」などの状態であれば、親の判断で「いったん休む」ことを選択してください。

 子どもに「どうする?」と聞くと、保護者の期待に応えようと無理をしたり、罪悪感を抱えたりと、次の問題につながることがあります。子どもの心身の健康を守るのは、保護者の役目です。ドクターストップのようにストップをかけて、子どもと“充電期間”を作りましょう。

 大事なのは、やめるのではなく、「いったん休む」時間です。休んでいる間に、子どももいろいろと考えます。元気が回復したから「またやりたい!」と思い直すことも、休んでいる間の生活を通して、本人自身が「習い事が負担だった」と気づくこともあるでしょう。やめるか続けるかの重要な判断を、急ぐ必要はありません。

 10歳を超えると、自分をじっくりと見つめる段階に入っていき、習い事を通して自分らしさを考える子もいます。迷いが大きくなって、やめる選択をする子もいるでしょう。心や体の変化で、習い事への気持ちが揺らぐのは当然のことです。

 この揺らぎを乗り越えると、大人になっても趣味として続けられるくらい続くこともあります。大事な時期ですので、決断を急ぐ必要はありません。

自立するための“余白”を大切に

 習い事を続けてきたのに、簡単にやめてしまうのはもったいないと考える保護者の気持ちもわかります。そんなときは、そもそも「なぜ習い事を始めたのか」を振り返ってみてください。

 そして、子どもの表情をじっくり見てください。子どもが主体的に習い事を楽しめているでしょうか。「この習い事が好き!」「これが得意!」と実感できているでしょうか。子どもは、親の期待に応えることがとても上手です。だからこそ、「親が主体的になりすぎていないか」「子どもが主体になれているか」について、考えてみましょう。

 今の子どもたちの多くは、自分の時間やぼーっとする時間、友達と遊ぶ時間などの“余白”があまりない印象です。“余白”を経験できていないと、ひとりでいることができず、常に相手を必要とします。テレビやインターネット、親などに相手をしてもらわないと不安になることも。その場合、思春期以降の自立が難しくなります。このようなことも含めて、習い事が必要なのか検討してみてください。

 中学校への進学時も、習い事の見直しに最適なタイミングといえます。学校生活に部活が加わり、時間的な余裕がなくなる時期。手放せるものは手放すことを学ぶのも、大事なことです。

 週に何日するのか、何種類させるのか、ゴールはどこなのか。習い事の主体は子どもであることもお忘れなく。貴重な子どもの成長時期を、大切に見守りたいものです。

(Hint-Pot編集部)

鎌田 怜那(かまだ・れいな)

臨床心理士・公認心理師。一般社団法人マミリア代表。子育てにイライラ・ハラハラはつきもの。そんな“悩める幸せ”を実感できるよう、親子の交流教室、保護者対象にカウンセリングやセミナーを実施。私自身、3児の母ですが、知識があっても悩みはあります。一緒に悩みを喜びに変えていきましょう。