育児・家族

介護うつの母 寄り添っていたはずの30代娘が子どもの頃から家族に抱いた「心の闇」に気付く瞬間

著者:和栗 恵

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会社を辞めて祖父の自宅介護を始めた母 愚痴の電話が頻繁に

 友人は、そう一気に話すと一息つきました。彼女は大学進学を機に、家族が住む北関東から離れ、勤務先のある都内で1人暮らしをしています。兄と弟が地元にいるようですが、それぞれ結婚をして家を出ているとのこと。そのため、独身の娘には電話連絡がしやすかったのでしょう。彼女の携帯電話には、母親から1日に何度も電話がかかってくるようになったそうです。

「最初のうちは、母が疲れているのだろうと思い、必ず電話に出て、出られなかった時にもできる限りすぐに折り返すようにしていました。でも、電話に出ても、聞かされるのは祖父の介護の愚痴ばかり。それも同じことを何度も何度も繰り返すんです」

 友人は、介護する母の大変さを思い、当初は電話での愚痴を真剣に聞いていたそうですが、次第に「限界」を感じ始めたといいます。

「母だけがつらいことは間違いないし、愚痴が言いたくなるのは分かるんだけど、それを毎日毎日、無限ループのように聞かされると、ひどい娘だとなじられても仕方ないのですが、電話が怖くなってしまって……」

 電話攻撃を我慢し続けて3か月。軽い帯状疱疹が出てしまい、病院で「ストレスを軽減しないと、もっとひどくなりますよ」と注意されてしまった友人は、それ以降、母親からの電話にできるだけ出ないようにしたといいます。

「電話をやめたことで、私自身はすごく楽になりました。でも、それもたった数日のことでした。母からの電話の頻度がますます上がってしまって、電話に出るまで何十回もかけてくるようになったんです」