育児・家族

認知症発覚の祖父 世話をめぐる家族会議は泥沼化 険悪な事態を救ったのは“おばちゃん”の一喝

著者:和栗 恵

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入院後アルツハイマー型認知症が判明 親族で話し合うも泥沼化

 その後さまざまな検査を経て、祖父はアルツハイマー型認知症と診断されたそう。そして、祖父の今後について家族で話し合うことを勧められました。光希さんの母は、姉、兄、そして弟の4人きょうだい。それぞれ同県内に住んでいたため、すぐに話し合いがもたれたといいます。

「これがもうね。地獄で(笑)」

 思い出すだけで、苦笑が漏れてくるのだと光希さんは振り返ります。

「誰が祖父の面倒を見るのかで大モメに揉めたんですよ。きょうだい4人もいるのに、誰も祖父を『引き取る』って言わないんです。気持ちは分かりますよ。いくら自分の親とはいえ、認知症の高齢者を引き取るとなると生活は大きく変わりますからね。それならと高齢者介護施設を探して費用を折半するよう提案したのですが、『子どもが4人もいるのにホームに入れるなんて、外聞が悪い!』って言いだすわ、叔父に至っては『俺んちは給料が低いからお金なんて一切出せない』って言いだすわ……もう、話は堂々めぐりでした」

 きょうだいの話し合いはなかなか決着せず、最終的にはそれぞれの家族も会議に加わり喧々囂々。不毛とも思えるやりとりが繰り広げられる中、長男の嫁、つまり光希さんの伯父の妻である伯母が周囲を一喝しました。

伯母や孫が協力し収束するも消えない母への嫌悪感

「伯母は『もう結構です!』と、すごい剣幕で言い放ったんです。そして、実子にもかかわらず責任を押し付け合うきょうだいを『情けない』と嘆き、お金がないという伯父に代わりパートをしてでも祖父を面倒見ると言い始めました」

 義理の娘である伯母からの言葉に、光希さんの母を含め4人きょうだいは恥ずかしそうな顔をしてうつむいていたそう。

「それを見ていたら自分の親がものすごく残念な人に思えて……。シワ寄せを受けることになった伯母に、毎月実家に仕送りをしている5万円を送ることを約束しました。すると、その場に居合わせた7人の従兄弟たちもれぞれ2~5万円ずつ毎月支払い、祖父の介護費用と、実子でもないのに面倒を見てくれる伯母の報酬に当ててもらうことに決まりました」

 その後、光希さんのいとこたちも積極的に意見を出し、祖父の今後について詳しく決め、事態は収束したそう。しかし、祖父の件はまとまったものの「母に抱いてしまった嫌悪の気持ちが、あれ以来、自分の中から消えない」のだと、光希さんは言います。

「あの日の母の態度に失望してしまい、今後、母の介護が必要になった時に、快く面倒を見てあげられるかどうか……それが不安でなりません」

 家族の本当の顔が見えてしまう結果となった、今回の騒動。もちろん介護はきれいごとでは済みませんが、いつ、どのように降りかかってくるかは誰にも分かりません。高齢者を抱える家族は、あらかじめ話し合いを重ねておくことが必要かもしれません。

(和栗 恵)