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「地球の歩き方・東京」コロナ禍でまさかの大ヒット! それでも編集部が「シリーズ化は無理」と断言する理由

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 佑輔

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“五輪ありき”で始まった企画が、コロナ禍と五輪延期でまさかの大ヒット

 一方で、「地球の歩き方」シリーズの特徴である徹底した交通ガイド、治安に関するネガティブな情報なども隠すことなく盛り込んだ。満員電車の注意事項やマナー、ハロウィンの渋谷の混雑ぶりや危険性についても触れている。

「東京在住の方からは、『丁寧すぎて面白い』と言っていただいてます。でも、電車が数分おきに来ることとか、リュックは前に持ちましょうとか、人が降りてから乗りましょうとか、東京では当たり前でも地方の人には分からないルールやマナーも意外と多い。改めて読むと知らなかったという声もあります」(斉藤さん)

 東京五輪を想定して制作がスタートした同書だが、コロナ禍で外出自粛などの措置が取られ、五輪も延期に。一時は無事に本が出版されるかどうか、頭を抱えるような状況が続いたという。宮田編集長も「ガイドブックもやはり実用書なので、旅行者の数と売り上げは比例する。私も責任を取らないと、と覚悟していた」と当時を振り返る。

 しかし、予想外にもコロナ禍でのアームチェア・トラベルやマイクロツーリズムの考え方とマッチ。発売直後から話題となり、都内や関東近郊の在住者を中心に大きく売れ行きを伸ばした。

国内版シリーズ化 編集長が「無理ですね」と即答するわけは?

 今回の大ヒットを機に、国内版のシリーズ化はあるのか。宮田編集長は「無理ですね」と即答する。

「東京五輪と創刊40周年が重なって、採算度外視だからできたこと。パリ版と同じ約500ページのボリュームがありますが、1年でこれを作ったと言ったら業界の人間は耳を疑うでしょう。かといって、200ページで妥協することはできない。『地球の歩き方』シリーズは圧倒的な情報量が売りですから」

 また、担当編集の斉藤さんもこのように続ける。

「今、スタッフはほとんどが関東圏在住ですから、関西版や北海道版を同じクオリティで作れるのかという問題もあります。『売れたから次も作ります』というほど簡単にできるものではない。あるとしたら、読者の皆さんの熱量次第でしょうか……」

 徹底して妥協しない姿勢を貫いたからこそ、思わぬ大ヒットにつながった「地球の歩き方・東京」。同シリーズのファンとしては、妥協なしの国内版続編がいつか出る日を心待ちにしたい。

(Hint-Pot編集部・佐藤 佑輔)