インタビュー

勉強嫌いだったタレント・ビビる大木的“肩の凝らない歴史を好きになる方法”

著者:中野 裕子

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歴史好きが高じて、渋沢栄一の解説本まで上梓【写真:荒川祐史】
歴史好きが高じて、渋沢栄一の解説本まで上梓【写真:荒川祐史】

世の中の出来事を反対側からも見る楽しみ 「立場が変われば見方が変わる」

 歴史に興味を持ってみると、大事なのは年号じゃなくて、誰が何をして、その結果、どうなったか、ということの方がよほど重要なんだって分かりました。それを理解したら、年号は後から自然についてくる。で、いろいろ知ってみると、人間って昔も今も大して変わらないんだな、と思うんです。

 例えば、「江戸幕府を倒して不平等な世の中を正すんだ!」って威勢のいいことを言って徳川幕府を倒した人が、明治新政府を作った後はちゃっかり政府のおいしい役職に就いて私腹を肥やしていたりする。今もそういう人っているじゃないですか。歴史は繰り返す、人間っていつの時代も変わらない、ということを知るだけでも、歴史を学ぶ意味があるんじゃないかと思いますね。

 2月にスタートする大河ドラマ「青天を衝け」で描かれる実業家・渋沢栄一さんについて、昨年、僕は解説本を出したんですけど、その点、渋沢さんは大隈重信に説得されて明治政府の要職に就いたのに、理不尽なことに憤慨して、せっかくの名誉な役職をあっさりなげうってしまうんです。渋沢さんはドラマチックな新選組や戦国武将とかに比べて地味で、これまであまりスポットライトを浴びてこなかったと思うんですけど、やっぱり普通の人ができないことをやったすごい人。どんな風にドラマで描かれるのか、楽しみです。

 歴史の本を読むようになって、もう1つ面白い発見があって、それは世の中の出来事を反対側から見るとまた違って見える、というのを知れたこと。

 幕末の歴史を倒幕側から書いた本しか読んでいないと、江戸幕府は何をやってたんだ、有能な人がいないんだ、と思っちゃうんですけど、実は幕府側の立場から書いた本を読むと、優秀で立派な人もたくさんいたんですよね。そして、薩長側、幕府側の双方に言い分がある。だから、僕は両方を読んで、中立の立場で判断したい。龍馬も西郷さんも読む、徳川慶喜も、榎本武揚も、吉田松陰も、勝海舟も読む。いろいろ読んでみると「そりゃ、それぞれの言い分があって当然だよな~」って思えるんです。立場が変われば見方が変わる。それは現代も同じ。負けた側、敗れた側が一方的に悪いわけじゃないのかもなって思えて面白いんですよ。

 幕末好きになったおかげで、読書量が増えたし、単純に、国内旅行が楽しくなった、というメリットもありました。旅行先で「ちなみに、ここは明治維新の頃はどうだったのかな」とか調べてみると面白い。

 旅行で高知に行った時、横堀公園をブラッと散歩していたら、木碑に「ここを西郷隆盛が訪れた」と書かれてあって「へ~」と思ったこともあります。それから、僕は史実が好きなので、どこまでが事実でどこからが脚色か、よく分からない歴史小説や時代劇はあまり積極的には読んだり観たりはしないんですけど、史実にこだわらなければ、より小説やドラマも楽しめるようになるわけです。楽しみが広がるんですよ。だから、子どもの時は歴史嫌いだった人も、僕のように大人になってから好きになれば趣味が1つ増えて、楽しみが増えると思いますよ。

◇ビビる大木(びびる・おおき)
1974年9月29日、埼玉県春日部市生まれ。本名:大木淳。西武台千葉高校卒。1995年5月、大内登とお笑いコンビ「ビビる」結成。コント番組「笑う犬の冒険―SILLY GO LUCKY!―」などで活躍したが、2002年4月、相方が引退。現在の芸名でピン芸人として再スタートし、「トリビアの泉~素晴らしきムダ知識~」(フジテレビ)、「土曜スタジオパーク」(NHK総合)など多くのバラエティ番組で活躍。野球、プロレス、歴史好きとしても知られ、20年10月14日、“近代日本資本主義の父”といわれる実業家・渋沢栄一について解説した「ビビる大木、渋沢栄一を語る」(プレジデント社)発売。

(中野 裕子)