インタビュー

先天性欠損症の子と歩む美馬アンナさんと先輩ママ 「普通って何?」を考える

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 直子

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「子どもたちが元気で明るく生きていける環境を、自分たちは作っていきたい」

アンナ:浅原さんで8年かかったくらいなので、私はまだ「普通」というものがよく分かっていないですね。でも、自分が生きてきた「普通」を息子に押し付けるのはやっぱり違う、とはすごく感じています。

 だから、「何でできないの?」とか「もっと早くしなさい」とか、自分の基準を押し付けるから出てくる言葉は気を付けようと思うし、今も息子が何かをやっている時はなるべく手助けしないように意識しています。「彼にとってこれが普通なんだ」というものを、学んでいる最中ですね。

浅原:お箸の持ち方とか、なわとびとか、鉄棒とか、お菓子の袋の開け方とか、指が3本でも2本でも、それぞれが自分のやりやすいやり方を見つけるんですよ。5本指の子とは違うやり方かもしれないけど、親御さんも保育士の方やお友達も「あ、そういう風にやるんだね!」とぜひいい意味で面白がって、逆にできないことを見つけたら、一緒に「こうやったらいいんじゃない?」とできる方法を発見してほしいと思います。

 もちろん、どうしてもできないことはあるので、そういう時はポジティブに諦めたって大丈夫。5本指の子にもできないことはありますから。手が欠損している子で、雑巾を腕に巻いて絞る子もいます。

アンナ:へぇ~、考えますね!

浅原:お子さんが自分で編み出した方法で、親はまったく教えていないそうです。その子は小学3年生で、ボタンを留めたり自分で何でもできるから、先生から「家ですごい練習してるんでしょ?」とか「お母さん偉いね」と、よく言われるらしいんです。でも、お母さんは「私、何にも教えてないんですよね」って(笑)。子どもは本当に自分自身で勝手に見つけていきます。正直、私たちも分からないじゃないですか。彼らにとって何がやりやすいのかって。

アンナ:本当に分からないですよね。

浅原:だから、私も「ピアニカをどっちで弾かせますか?」とか聞かれた時は、「どっちがやりやすいか、本人に聞いて下さい」と伝えています。

アンナ:どうやったらできるのか、どうにしたらいいのか、親が考えすぎて空回りしてしまう場合もありますよね。

浅原:それはありますね。

アンナ:子どもに「え、こんなこと、こうすればできるよ。ママ、ちょっと悩みすぎじゃない?」って言われることもありそうだなって思いました。「考えすぎだよ、こういうのは超シンプルだから」みたいな感じで言われて、助けられる時がたくさんあるんだろうなって(笑)。

浅原:子どもによっては自分から言えない子もいるので、それは大人がよく見ておかないといけませんよね。

アンナ:確かにそうですね。前向きに生きてらっしゃる人がたくさんいる一方で、自分が障害を持って生まれてきたことをなかなか受け入れられない人もいたり、その人のいる環境自体が受け入れられる環境じゃなかったりして、障害をマイナスに考えて生きている人もいると思うんですよね。障害に対して否定的な人が周りにいるから、前向きに考えられないのかもしれないし。

浅原:それはありますよね。

アンナ:だからこそ、子どもたちが元気で明るく生きていける環境を、自分たちは作っていきたいなと思います。こうやって発信をしているのも、子どもの環境を作ってあげられるのは周りなのかなって思ったりするので。

 明るく元気で生きている人だったり、子どもたちが自分なりに学んだりしている姿を見ると、その過程が愛おしいというか。ここに来るまでに一体何があったんだろうか、これをできるようになるまでどのくらいの努力をしたんだろうかって考えると、自分の子どもじゃなくても「愛おしすぎる~!」って感じになりますよね(笑)。