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蚊を自然の力で撃退 ナチュラリストが感銘を受けた米ワシントン州の循環型生活

著者:小田島 勢子

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野菜くずや廃棄食品は鶏が 雑草はヤギが食べることで循環

木の温もりを感じるゲイブさんの家。裏には森が広がっている【写真:小田島勢子】
木の温もりを感じるゲイブさんの家。裏には森が広がっている【写真:小田島勢子】

 ゲイブの家は大きなモミとヒイラギの木がたくさん自生する森の中にあります。家は1957年に木と石を使って建てられ、ゲイブは自らの手と小さなトラクターで少しずつ修復しながら暮らしているのです。森では鶏が4羽、ヤギが3頭、ともに生活をしています。

 我が家もそうですが、鶏と暮らす利点は私たちが卵をいただく以上に、家庭で出た野菜くずや廃棄食品を食べてくれることにあります。その後に出たフンをコンポストし、新たに土地の肥やしとする。ささやかな循環が暮らしとともにあることを何よりも心地よく感じます。

 鶏4羽の道案内で森の奥に進むと、鋭いトゲのあるブラックベリーの茂みとヒイラギを平気な顔でむしゃむしゃ食べるヤギたち。ワシントンのこの辺りでは、勝手に増えるブラックベリーとヒイラギの木が“厄介な雑草”としてよく知られているようで、ゲイブは森の一部を畑に開拓するため、一時的にヤギを放牧しているそうです。

 この方法は私たちの住むロサンゼルス郊外でもよく見る光景。人が入ることのできないような険しい坂道や岩場の多い場所では、ヤギ使い専門の業者さんが市やカウンティから依頼を受けて雑草のコントロールを行っています。

 機械を使ったり山を崩したりせず、環境を汚染することなくヤギのお腹も満たされるこの方法も光景も、私はとても好きです。

暖房いらず 1950年代の知恵に驚き

 長年の雨や太陽で燻された木の玄関ドアを開けると、リビングにさわやかな光を取りこむ大きな窓が目を引きます。

 外は寒いけれど、家中は何だかほの温かく感じます。暖房がついているのかと思っていましたが、暖房の機械音もヒーターにありがちな極端な乾燥もないことに気が付きました。

 ゲイブの説明では、1950年代に建てられた当初から、家の床下にオイルならぬウォーターヒーターが付いているとのこと。シャワーを浴びる時や洗い物でお湯を使う時、瞬間湯沸かし機能でない限り、お湯を温めていったん溜めておくための大きなタンクが家に据え付けらえているのが米国では一般的です。

 このお湯を溜めるタンクをパイプにし、地下にラジエーターのようにして埋め込むことで、待機中の温水が家全体の床を温めるそうです。この古くからのアイデアをとても興味深く感じました。