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世界文化遺産登録で注目される“新しい北海道” 「縄文遺跡群」の魅力に迫る

著者:Hint-Pot編集部・西村 綾乃

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史跡「大船遺跡」(函館市)

史跡「大船遺跡」。整備後の竪穴建物跡や盛土遺構が復元された様子【写真提供:JOMON ARCHIVES】
史跡「大船遺跡」。整備後の竪穴建物跡や盛土遺構が復元された様子【写真提供:JOMON ARCHIVES】

「太平洋を望む段丘上に立地する拠点集落。竪穴建物、貯蔵穴、盛土、墓などの施設が分離して配置されています。竪穴建物は床を深く掘り込んだものが多く、深さ2メートルを超える大型のものもあります。祭祀場である大規模な盛土には、膨大な量の土器・石器、焼土などが累積し、長期間にわたって祭祀・儀礼が行われていたことを示します。この他、クジラやオットセイなどの海獣骨、マグロやサケなどの魚骨、栗やクルミなどの堅果類なども出土し、沿岸地域における生業と精神文化を示す重要な遺跡です」

○ガイダンス施設「函館市縄文文化交流センター」:道内唯一の国宝「中空土偶」を常設展示。

史跡「入江・高砂貝塚(入江貝塚)」(洞爺湖町)

史跡「入江・高砂貝塚(入江貝塚)」【写真提供:JOMON ARCHIVES】
史跡「入江・高砂貝塚(入江貝塚)」【写真提供:JOMON ARCHIVES】

「内浦湾を望む段丘上にある、貝塚を伴う集落跡。竪穴建物による居住域、墓域、貝塚で構成されています。貝塚からは、アサリやイガイなどの貝類、ニシン・ヒラメ・マグロなどの魚骨、イルカなどの海獣骨、動物の骨や角を加工した釣り針や銛などの骨角器が出土し、漁労や狩猟が活発に行われていたことを示しています。墓域からは、ポリオ(小児マヒ)や筋ジストロフィーが原因で筋萎縮症に罹患したと考えられる成人人骨が見つかっており、集落内で手厚い介護を受けながら生きながらえたことを伝えています。この他、イノシシの牙を用いた装身具なども出土し、高い精神性を示しています」

○ガイダンス施設「入江・高砂貝塚館」:入江貝塚及び高砂貝塚の出土品を展示。エゾシカの角や動物の骨で作った道具などもある。

史跡 「入江・高砂貝塚(高砂貝塚)」(洞爺湖町)

史跡「入江・高砂貝塚(高砂貝塚)」【写真提供:JOMON ARCHIVES】
史跡「入江・高砂貝塚(高砂貝塚)」【写真提供:JOMON ARCHIVES】

「内浦湾を望む低地に立地する、貝塚を伴う共同墓地。墓域は、土坑墓と配石遺構で構成されています。土坑墓からは、抜歯の痕跡が認められる人骨や胎児骨を伴う妊産婦の墓が確認されています。配石遺構からは土偶や土製品などが出土し、当時の葬送や祖先崇拝などを示します。貝塚からはタマキビ・ホタテ・アサリなどの貝類、ニシン・カレイ・マグロなどの魚類の他、鹿角製の銛頭など漁労具も多数出土しています。沿岸地域における漁労を中心とする生業と高い精神性を示す重要な遺跡です」

○ガイダンス施設「入江・高砂貝塚館」 入江貝塚及び高砂貝塚の出土品を展示。エゾシカの角や動物の骨で作った道具などもある。

史跡「キウス周堤墓群」(千歳市)

史跡「キウス周堤墓群」【写真提供:JOMON ARCHIVES】
史跡「キウス周堤墓群」【写真提供:JOMON ARCHIVES】

「キウス周堤墓群は、石狩低地帯を望むゆるやかな斜面に立地する、高い土手を伴う大規模な共同墓地です。周堤墓は、円形の竪穴を掘り、掘った土を周囲に積み上げて構築され、その内側に複数の墓が配置されています。キウス周堤墓群では9基の周堤墓が群集し、現在でもその形状を視認できます。最大のものは外径83メートルで、周堤上面から竪穴底面までの高低差が4.7メートルに達します。墓には、赤色顔料がまかれたものや、墓標と考えられる立石が埋められたものもあります。独特な墓制であり、当時の高い精神性と社会の複雑化を示す重要な遺跡です」

○ガイダンス施設「千歳市埋蔵文化財センター」:キウス周堤墓群をはじめ、千歳市内から出土した土器や石器を展示。

(Hint-Pot編集部・西村 綾乃)