仕事・人生
行動が遅い人と早い人の違いは? オランダ在住の今井さんに学ぶ突破力
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オランダの首都アムステルダムから南へ30キロ――歴史を感じる町並み残すユトレヒトに、予約が絶えない人気和食レストラン「高之助KONOSUKE」がある。店内で生き生きと采配を振るのは、この店の共同オーナーである今井佳奈子さん。2016年夏に夫婦でオランダへ移住し、移住後1年ほどで現在の店を開業した。彼女が日本を飛び出し、海外で飲食店を経営するに至った理由とは?
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きっかけは10代で経験した海外留学
30代前半で会社を辞め、移住を決めた今井さん夫婦。その大きな決断をするにあたり、どれほどの期間が必要だったのか気になるところだが、結婚当初から夫婦での海外移住を希望していたのかというと、そんなことはないという。
「彼の中で漠然と30代前半は海外で過ごしたいという憧れがあったようです。ちょうど30歳頃から私達の周辺で、アジアに移住して起業をする知人が増えていて。それで興味をもって移住について調べてみたらオランダにいきついたんです」
高校生の頃にドイツ留学をしていたという今井さん。ヨーロッパで暮らした経験が、今回の決断を後押ししたのは間違いないが、そもそも10代の頃の留学は挫折がきっかけだったという。
「高校受験が終わって抜け殻のようになってしまったんです。そんなときにふとクラスを見渡したら、ここにいる全員がみんな同じように頑張って、同じように大学を目指している…。このまま3年間みんなと同じことをし目指す将来に、とても違和感を感じました」
勉強をする意欲を失った今井さんの成績は悪くなる一方。毎日モヤモヤするものを抱えて過ごしていたが、ある日留学の募集要項を見つけて事態は好転する。
「高校受験までは親が道筋を作ってくれて、そこに従う。それが当たり前だと思っていました。だからこそ自分で決めて、自分で行動した留学は、私にとってすごく大きなできごとだったんです」
そして、両親の薦めもあり、今井さんが希望したヨーロッパの中でも一番日本人に気質が似ている、ドイツへ留学することになったのは、高校2年生のときだった。
「今考えると、16歳のときによく行けたなーと思いますね。私が留学した19年前は、国際電話は驚くほど高額でめったに使えず、インターネットカフェでローマ字のメールを打つか手紙を書くくらいしか、日本にコンタクトを取る方法がなくて…」
当時の大胆さを思い出し、朗らかに笑う今井さん。彼女の行動力は、この頃に培われたものだった。