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首がすわる前の赤ちゃんと安全に避難するには 災害時に備えておきたいひとつの知恵
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教えてくれた人:鈴木 美香
平成は、たくさんの災害が起きた時代とも言えます。相次ぐ自然災害から身を守るには、日ごろの備えと想像力が重要になります。もし、避難が必要になり、家から赤ちゃんと一緒に避難するとなったら、どうしますか? ベビーカーは使えない可能性が高い。抱っこ? おんぶ? 首や腰がすわっていない赤ちゃんの場合、どのように一緒に逃げるのが良いでしょうか。平成が終わる前に、改めて考えたていきたいと思います。だっことおんぶの研究所で多くの母親に指導している鈴木美香さんに聞きました。2回にわけてお届けします。1回目は、首がすわる前の赤ちゃんについてです。
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首がすわらない赤ちゃんと一緒に避難する際に心がけたい3つのこと
ベビーウェアリングコンシェルジュという、だっことおんぶの専門家である鈴木美香さんは、これまで何百組の親子に接した経験から「幼い子どもがいる家庭で、なるべく安全に避難する知恵があまり知られていない」ことに気付いたといいます。なかでも首がすわっていない赤ちゃんと避難する場合は、特に注意すべき点が3つあると言います。
〇首をしっかりと支える
日常から気を付けるべきことですが、骨格と筋肉が未発達なため、赤ちゃんの首は常に不安定な状態です。常時、首が支えられる状態を作ってから避難を始めましょう。
〇赤ちゃんの姿勢を保つ
赤ちゃんによって自然な姿勢である、M字のあんよと腰のCカーブを保ちます。これは股関節脱臼防止にとっても重要です。避難するときも赤ちゃんを自然な姿勢に導きましょう。
〇高く、密着させる
低い位置にぶら下がるように抱くと、赤ちゃんが揺れることにつながります。過度な振動は赤ちゃん自身の体に負担がかかる可能性があり、また何かにぶつかる危険性なども増えます。また、抱く側にとっても、赤ちゃんが揺れると赤ちゃんの重さ以上の負担を感じることになります。高く、密着するとお互いが近いことで安心感が増すでしょう。しっかり密着して避難できるようにしましょう。
以上の3点は実は普段の抱っこでも大切なこと。いつもの生活でも実践することで、災害避難時にも落ち着いて行動することにつながります。
トートバッグはあくまで緊急時の避難手段 しかし知恵として知って欲しい
そこで鈴木さんは、緊急時に大きめのトートバッグに赤ちゃんを寝かせて避難する方法を知って欲しい、といいます。
「もちろん『赤ちゃんをバッグにいれるなんて』、『スリングや抱っこ紐ではだめなの?』と考える方もいらっしゃると思います。ただ、首のすわっていない赤ちゃんの扱い方には個人差があります。特に第1子で産まれたばかりの赤ちゃんなら、親が抱き慣れていないことも多いです。災害発生という非常時のなかで、赤ちゃんの首を支え、安定した姿勢を保った状態で移動するのが、抱っこ紐や素手では難しいという場合のひとつの選択肢として知ってほしいと思います」と鈴木さん。
例えば、フェンスをよじ登らなければならない、マンションの避難はしごを降りなければならないとなったとき、前に赤ちゃんを抱っこしていると自分の足元が見えにくかったり、行動が制限されたりすることもあるかもしれません。トートバッグを使用していれば、周囲に避難を介助してもらう際にも安心度が高いと鈴木さんは言います。