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アメリカ学校生活の七不思議 LA在住母が語る合理主義とボランティア

公開日:  /  更新日:

著者:小田島 勢子

アメリカの小学校【写真:小田島勢子】
アメリカの小学校【写真:小田島勢子】

 ロサンゼルスの片田舎で夫と娘3人、鶏、豚、犬たちとともに自然に囲まれた生活を送るナチュラリストの小田島勢子さん。異国の地で食や環境の大切さを感じ、「育て、ともに生活する」そして「造る」ことが暮らしのスタンス。できることからコツコツと、野菜やハーブを育てたり、味噌や酢などの調味料を手作りしたり、スローライフを楽しんでいます。多彩な才能は口コミで広がり、現在は発酵食品作りの講師をはじめ、創作料理のケータリング、身体作りに真剣に向き合うプロスポーツ選手やアクション映画俳優の身体作りのアドバイザーなどさまざまな分野で活躍中。娘さんたちの学校生活を通して、勢子さんが個人的に感じたアメリカの教育事情について。「アメリカ学校生活の七不思議」として1回目をお届けします。

 ◇ ◇ ◇

合理主義のアメリカならではの風習は学校にもたくさん

 我が家にはエレメンタリー(小学生)がふたりと、プリスクール(幼稚園)に通う、おちびがひとりおります。ここアメリカでは州や市によって、学校システムやルールが異なります。

 また、学校に登校せず、自宅や図書館や公園などで、親が子どもの学びの手助けをする、ホームスクーリングというシステムも多くの家庭が取り入れています。さすがは自由の国、人種のるつぼと言われるこの国は、教育の形もかなり自由な選択ができるようになっています。

 さて今回はアメリカと日本の学校の違いなどを私の個人的な経験や思いも含めて、数回にわけて伝えたいと思います。名付けて“アメリカ学校生活の七不思議”です。

塾に通う子はほとんどいない 上の学年か家庭教師に教わるか授業内で解決

【不思議1】休みは休み! 宿題は学校の日のみ オンラインで宿題を提出

 娘たちは、学校から帰ってきておやつを食べた後、その日に出された宿題に取りかかります。宿題は月曜から金曜日まで毎日あり、日本の同学年と比べると、こなす量と時間が多いように思います。

 また、学年が上がると、学校からひとりにつき一台ずつiPadが与えられ、ほぼ毎日授業で使います。学期末のテストもオンラインで受けます。そして、宿題も家のタブレットを使い、読書時間や算数の問題、それから文字のタイピングの練習もオンラインで管理されています。毎日の課題が多い代わりに、土日、ホリデーや、2か月以上ある夏休みには、宿題が出ることはありません。休みは休み。子どもたちは、思い切り家族との時間や旅行を楽しみます。

 学校以外の学習方法として、日本では塾に通う子どもが多いですが、こちらで塾に通う子どもはほとんどいません。チューターというかたちで、図書館などで学年の上の子どもが年下の子どもにわからないところを教える場があったり、家庭教師のように、それぞれの家に大学生がアルバイトとして勉強を教えに来るのがアメリカのスタイルです。

 我が家の娘さんたちは、基本的に学校で分からなかったことや、テストで間違えた問題は学校の授業内に解決してきます。娘曰く「クラスで理解できていない所を出来るだけ早く納得しないと何ができなかったか忘れてしまうし、お母さんに聞いても英語分からないでしょ」とのこと。なんともズバリな回答で、嬉しいやら悲しいやら。すでに親が頼りにされていないので、自分で解決する力はメキメキとついているようです。

アメリカの小学校のクリスマスコンサートの様子【写真:小田島勢子】
アメリカの小学校のクリスマスコンサートの様子【写真:小田島勢子】

オークションも開催 驚きの落札額もあり学校経営にひと役

【不思議2】PTAの活動が活発 ボランティアや寄付金で学校は回っている

 アメリカでは、私立、公立関係なく学校に通う子どもたちの親や親戚が積極的にボランティアと寄付に参加します。丸付けやプリント配布などクラスの先生のサポート、イベント時の準備、イベントに必要な物品の寄付、お金の寄付が頻繁に行われていて、そのサポートや収益はすべて学校のプログラムや施設のアップデートや学校の先生のお給料などにあてられます。

 当然のことながら、寄付金やサポートが大きいほど、学校の施設やプログラム内容も立派なものになります。うちの学校でも常にいろんな方法で学校運営費を集めていますが、最大のイベントはFall festival(文化祭のようなもの)で、親と子どもが自由にハロウィンの仮装をして、各クラスから出店を企画して、輪投げなどのゲーム、フェイスペイント、お化け屋敷やホットドックを売る店などすべて皆で物品やお金を寄付して行います。参加する生徒はチケットを購入して、各店舗を好き好きにまわります。

 それとは別に、大人たちが部屋に集まり、オークション(落札)が開催され、その内容は、卒業式や歌の発表会の一番前の観客席を落札したり、子どもが1日学校の校長先生になれる権利を落札する一風変わったものが多く、落札が驚きの価格になることもしばしば。学校全体を皆が助け合って経営しているので、学校と保護者がとても近い関係だと感じます。

 “アメリカ学校生活の七不思議”3つめ以降は、次回に続きます。

(小田島 勢子)