からだ・美容
健康寿命を延ばしたければ「階段を下りる」ー認知症予防に取り組む医師が解説
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教えてくれた人:白澤 卓二
日本人の平均寿命が延び続ける中、元気に自立した生活を送れる“健康寿命”という言葉が注目されています。実は、男女ともに平均寿命より10年前後もこの健康寿命が短いことが分かっています。寝たきりにならず健康な状態を長く維持するためには、日常的にどのような習慣を取り入れるといいのでしょうか。『階段を「下りる」人はなぜ寝たきりにならないのか?』の著者で、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二先生は「階段を下りる」という行為に秘訣があると説明します。
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外出頻度が低い閉じこもりの高齢者は死亡率が高くなる?
認知症の予防や治療、研究を行う白澤卓二先生が著書のなかでも引用している、東京都老人総合研究所・新開省二部長のグループの研究結果によると、外出をせず、家に閉じこもっている高齢者の死亡率が高いことが明らかに。日常生活では自立しているにもかかわらず、閉じこもり(外出頻度が週1回以下)の高齢者の死亡率は、閉じこもりでない高齢者と比較した場合、死亡率は2倍強を記録したといいます。この調査で生活の活動性が低下するだけで、心身機能を弱らせることがわかりました。
「道を歩く」「買い物をする」など日常の行動が寿命を延ばすカギだ、と白澤先生は指摘します。実は、「歩く」という行為だけでも、複雑な動きを要します。歩くために必要な筋肉は足だけでなく全身におよび、全身の筋肉の約3分の2にあたる約260種もの筋肉が使われているのだそうです。そのため、階段を上る、下りるという動きは筋肉をより複雑に使うことになります。
筋肉は何歳になっても鍛えられる
歳を取り、筋肉が減ってしまったと感じている人も多いのではないでしょうか? 加齢とともに髪の毛や歯、免疫細胞など、さまざまなものが減少していきますが、意外なことに個人差はあるものの、筋肉を構成する「筋繊維自体はほとんど減らない」と白澤先生はいいます。
つまり、筋肉を鍛えることで年齢に関係なく、ほとんど減っていない筋繊維の1本1本を太くすることができます。そのため、筋繊維が多少目減りしても、筋肉自体は同じような状態をキープすることが可能なのだそうです。