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からだ・美容

家事ノイローゼになりかけた妻 心が重くなる呪いの言葉と軽くなる魔法の言葉

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

魔法の言葉「死ななきゃ大丈夫!」-人間なんて、そんなもの  

 死にたい。辛い。ひとりでどこかに逃げてしまいたい――そんな悩みを抱えていたAさん。夫の実家で義母に泣きついたとき、「家事なんて、死なない程度にやりゃいいのよ」そう言われて、目が覚めたといいます。

 同じく病みかけていたBさん。Bさん夫婦と同様に共働きなのに、結婚から15年を経ても夫婦仲が良い学生時代の友人の家に行った際、「私は超手抜きで家事してるよ~。だって手を抜いたくらいで人間は死なないでしょ?」と言われ、目からうろこが落ちた気持ちだったといいます。

 Aさんの母親とBさんの友人、ふたりとも共働きでキャリアを積んでいるのに、夫婦仲が良い点が共通していました。そしてさらなる共通点。それが「家事は手を抜いてもOK!」という価値観だったのです。

「考えてみたら、洗濯ものが溜まったとして、明日履いていくパンツや靴下があろうがなかろうが、別に死ぬわけじゃないんですよね。ごはんだって、そこまで栄養をきっちり考えて作らなくたって、忙しいときはお惣菜を買ってきたり、炒め物と市販の漬物程度で手を抜いたって、まったく問題ないんじゃないですか。すべてを完璧にやろうとしていたから、ノイローゼになりそうだなって気づいて、自分がやれる範囲内だけやるようにしたら、カラダもココロもとてもラクになりました」とAさん。

 Aさんも「家事をして、夫や子供たちを完璧な状態にして送り出して、それからパートに行って、パートが終わったらアレをしてコレをやって……と、病んでいた頃は、毎日、そんなことばかりを考えていました。『私、手を抜いてもいいんだ! だって、こんなことくらいじゃ死なないし!!』と思ったら、気分が本当にラクになって……」。

 Bさんの話は続きます。「夫はたまに『手抜きすぎない?』って文句を言ってきますが、『あ~~、そうね。でも、週5の洗濯が週2になったからって、別に死ぬわけじゃないでしょ? 私はあなたとお同じ金額は稼げないかもしれない。でも、私自身が働いて稼いでいる分くらいは、今後、手抜きをさせてもらいます!』って言ったら、それ以後はあまり文句を言わなくなりました」

自らかけてた“呪い” 妻がドンと構えると夫も意識が変わるはず

「女が家事をするのが当たり前」――自分たち自身に”呪い”をかけてしまっていたのは、私たち女性そのものであることに気づいたというAさんとBさん。興味深いことに、Aさんが強く出たことで、Aさんのご主人にも変化があったといいます。

「手抜きを始めてしばらくは、夫も戸惑っていたようです。窓枠のホコリを指先でツーッとかもやられました(笑)。でも『私は専業主婦じゃないし、完璧な人間じゃない。今まで通りのことはもうできないので、これからは、私がやれる範囲でしかやりません。それがイヤなら、離婚でもなんでもどうぞ!』と宣言したら、夫はしばらく無言になりましたよ」。

 その後、Aさんにご主人がこう話してきたといいます。「『そうだよな、お前だってずっと働いていたんだよな……これまで甘えていてごめん』と、殊勝なお言葉をいただきました。男性って、小さいころからの教育なのか、家事は女がやるものだって本気で信じていたりするんですよね」

 Aさんはこう締めくくりました。

「そうした意識が間違っていることを伝えるためにも、私たち女性がちゃんと、辛いことは辛い、出来ないことは出来ないって言わなければならなかったのだと気づきました。今では掃除と洗濯は夫の担当になり、私以上にこまめにやってくれています。今年の夏に待望の長男が生まれる予定なのですが、夫の背中を見せ、仕事も家事もできる男に育てる予定です!」

「手を抜く」というと、なんだかズルしているように感じてしまうかもしれませんが、ようは、時間的・物理的な余裕を持つことで“自分自身に余裕を持たせる”ということ。女性が自身に余裕を持ち、ドンと構えるようになれば、男性の意識にも変化が生まれるようです。

 手抜き上等! くらいの気持ちで、余裕を持つことで、夫への不平不満も減っていきますので、もしも今、辛いと思っているのなら……試しにどんどん手を抜いちゃいましょう!! だって別に、ちょっと家事の手を抜いたくらいじゃ――死にませんから。

(和栗 恵)