育児・家族

親子ですくすく育つ世の中に 東大で「母子を支える人々の学び」 ベビーウェアリングイベントに行ってみた

著者:Hint-Pot編集部

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写真はイメージです【写真:写真AC】
写真はイメージです【写真:写真AC】

 東京大学で、なかなか聞きなれないアナウンスが流れた。満員御礼の会場に響く「赤ちゃんの声もBGMだと受け取ってお楽しみください」との声――5月26日、東大の伊藤謝恩ホールにて開催されたベビーウェアリングをテーマにしたイベント「子育て支援者のためのだっことおんぶの大勉強会2019」での一場面だ。会場は、赤ちゃんの泣き声や子どもたちの元気な声が響き渡った。

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乳児連れにも優しい心配りが行き届く イベント会場の様子

 今イベントを主催したのは、「ベビーウェアリングコンシェルジュ」の有志たちだ。「ベビーウェアリングコンシェルジュ」とは、今イベントの後援でもある、NPO法人だっことおんぶの研究所で養成された、だっことおんぶのスペシャリスト。同研究所に所属し、日本全国の産婦人科や地方行政などと連携。実践的なだっこやおんぶ、スリングの使い方をレクチャーしている。また、地震防災セミナー等、さまざまな活動も行う。

 赤ちゃんをまとうような、心地よく一体感のあるだっこやおんぶをすることを「ベビーウェアリング」というが、当たり前だからこそ見過ごされがちな行為だという。授乳中のだっこの仕方などは産院で指導を受けたり、資料に書かれていたりするが、普段のだっこの仕方の正解はわかりにくい。そんな母や保育関係者の悩みにこたえる。

 だっことおんぶがテーマということもあり、参加者の多くは女性だったが子ども連れの姿が目立ち、そのなかでも驚いたのが冒頭で紹介したアナウンスだ。会場左前方には、赤ちゃん連れの親子向けに、キルトマットが広げられていた。この親子席への理解と協力を促すアナウンスだったのだ。

 また、会場すぐ外の小部屋に設けられた授乳室には、モニターが備えられていた。広い会場の環境に慣れない赤ちゃんや授乳のため、一時退室しなければならない母親に向けた小さな心遣い。小さな子ども連れでも気負わず参加できるよう、さまざまな工夫が凝らされていた。

平成は赤ちゃんが背中から胸へ 時代を超えて変わらぬベビーウェアリングの重要性

 そして開演すると、まずはだっことおんぶの研究所理事長、園田正世さんが登壇。園田さんは、2013年から東京大学大学院にてだっことおんぶについて研究を続けており、自身の子育て経験から起業、その後NPO法人を立ち上げている。講演では、これまでのベビーウェアリングに関する先行事例が紹介された。

 園田さんの講演のなかで、最も印象的だったフレーズは「平成は赤ちゃんが背中から胸の前にやってきた新しい時代」だ。日本人は昔から背中の高い位置で、子どもをおぶう習慣があった。しかし、1986年を境におんぶからだっこへと大変革したのだという。

 その要因は、婦人誌で山口百恵さんがだっこ紐を使用している様子が掲載されたことだった。山口さんは引退後だったにも関わらず、大ブームとなり、やがてだっこ紐は平成になり定着していったのだそうだ。

 園田さんは、講演でベビーウェアリングの重要性を強調。だっこの時代になった平成以降に育つ世代は今後どのような身体的、精神的変化が現れるかはわからないが、より多くの親子にベビーウェアリングの知恵と心地よいだっことおんぶの感覚を届けたいと閉じた。