インタビュー

「働きづらさ」からうつ病に 26歳で「ADHD」と診断されて

著者:Hint-Pot編集部・白石 あゆみ

教えてくれた人:小川 智也

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「なんで普通のことができないのか」―追い詰められ自殺まで考えた日々

 都内にある職場で行ったインタビュー中、本田さんは店舗のバックルームへ休憩にくるスタッフ一人ひとりに必ず声をかけ、たまに冗談を言いうそぶいたりする。話しているだけでは感じにくい“障がい”だが、これは本田さん自身のある“決心”がそうさせているという。

 本田さんはこう切り出した。

「“どこらへんがADHDなの?” それが私を見たときの正直な感想だと思います」

 診断を下されたのは、同店で働きだして3年目、26歳のころだった。

「診断を聞いたときは、正直、何も感じませんでした。自分でも薄々感づいていた部分もあり、もしそうだった場合はどう対症していけばいいのか学びに行こうと、学習塾にでも行くような感覚でした」

 すでに大人だった本田さんが、自身のADHDを疑いメンタルクリニックで診断を受けようと思ったのは、あるベテランアルバイトの辛辣な言葉がきっかけだったという。

「なんで普通のことができないのか」
「社会人3年目でそんなに下の役職なの?」

 それまで他の人ほど上手に立ち回れない、すぐに色々なことを忘れてしまうなど、ADHDによくみられる症状を自覚していたが、すべて自分自身の努力不足によるものだと感じていた本田さん。しかし、アルバイト店員にはっきりと言われ、大きなショックを受けたそうだ。

「自分は出来の悪い人間なんだ」
「他の人に迷惑しかかけられないんだ」

 そんな考えが頭の中を埋め尽くし、そのころうつ病を発症していた本田さんは、自殺を考えてしまうほど追い詰められていた。

仕事についていけない…幼いころ叱責された記憶もよみがえり、うつ病を発症

 入社してすぐの頃、本田さんは繁華街の旗艦店に配属となった。覚えることが苦手な本田さんは、大型店舗の業務の煩雑さについていけなかったという。しかし、その隣でインターネットカフェでのアルバイト経験があった同期は、次々と新しい仕事を与えられ、昇格していった。

 本田さんは、他のスタッフから面と向かって「頼りにならない」と言われ、幼いころに教育ママだった母から「お前はできない」「恥ずかしい」と厳しく叱責された苦い記憶がよみがえったという。人一倍「他人に迷惑をかけてはいけない」と教え込まれてきたにも関わらず、現状の不甲斐なさが心を締め付けた。

 ADHDは、「二次障害」が起こりやすい病気といわれており、うつ病もそのひとつだという。このとき発症したうつ病をきっかけに、メンタルクリニックに通い始めた本田さんだが、いまでもうつは治っておらず、上手に付き合いながら働いているという。

 そして、それから数年後、ベテランアルバイトの前述の言葉もあり、お世話になっていた病院での検査に踏み切ったのだという。