仕事・人生
27歳で6000万円の詐欺被害にも 女性起業家が語る挫折からの逆転
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創業1年で大打撃 後ろ向きにならなかった理由とは
恋人の病をきっかけにワークライフバランスを見直し、そして「大切な人たちを幸せにする」という決意から26歳で起業した田中麻里奈ロフス(lojus)社長(33)。会社員時代は“敵なし”の成績だったというが、若くして起業したことで失敗もあったという。それが6000万円の「取り込み詐欺」だった。大きな困難から海外展開で成功を収めた現在に至るまでの経緯と、挫折を乗り越えたマインドについて話を聞いた。
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会社員として4年の経験で起業を決めた田中社長。不安はなかったのかと聞くと「それまで大きな失敗をしたこともなかったですし、何より会社に所属していた時は“誰と仕事をするか”といったジャッジを会社がしてくれていました。そこに対する不安はありました」という。
その不安は的中する。創業から1年ほど経った頃、とある問屋に6000万円を振り込んだ。「特に疑うこともなく先払いで振り込んで、商品を待っていたんです。しかし商品は届かず、相手先の人も姿を消してしまって…さすがに途方に暮れました」
仕入れ先からの取り込み詐欺だった。普通の人ならそこでくじけてしまいそうなものだが、田中社長はすぐさま前を向いた。その時の気持ちを田中社長は次のように語る。
「私はとにかく自分のことよりも、お客さまや周囲のひとたちのことで頭がいっぱいでした。とにかくすぐにお客様に返金しなきゃと借り入れをし、そのためにも働く必要がありました」
「仁義」と「スピード」 自身が大切にしてきたことが窮地を救う
何よりも、この時に周囲の人物が支えてくれたことが大きかったという。「取引先の方など、周囲の人たちが『田中に仕事を!』と動いてくれました。だからそれに応えたかった、その一心でした」
社名の「lojus」は、田中社長が仕事上大事にしている「仁義」と「スピード」を合わせた言葉で、英語の「love & justice」、それぞれの単語の最初の2文字と「speed」の頭文字だという。常に人に仁義をもって接し、迅速に仕事をこなす。こういった積み重ねが「助けたい」と周囲を動かした要因だろう。
大きな挫折から立ち直っても、臆病になってしまう人もいる。しかし田中社長はむしろ進んでいった。「この挫折を経験してから、弊社の主力ブランド『マプティ』を立ち上げています。IT企業に勤めていた頃からずっと美容製品を扱ったECサイトを運営していたので、いつかは自分で作りたいと考えていました。またオフライン流通の勉強もしたかったので、店舗型のドラッグストアやバラエティーショップに卸して販売を始めました」と田中社長。あえて自分が経験していないことも勉強するため、突き進んだ。