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夏の実録・帰省の墓参りで亡き母へ“謝罪” 良かれと思って選んだ「香典返し」の理由に周囲が仰天
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もうすぐお盆ですね。夏季休暇を利用して先祖のお墓参りをする、という人も多いと思います。亡くなった家族や親族の顔を思い出し、生前の楽しかった出来事や亡くなったときの辛い気持ちが頭の中によみがえったりします。別れは突然やってくるため、気持ちや金銭面の整理する間もなく葬儀の準備に取り掛からなければならないことも多く、後々「こうしておけばよかった」「失敗した」と、お墓参りをきっかけに思い出すこともあるかもしれません。「今は笑って話せますが、お墓参りではいまだ母に謝ってます」と話すのは小野田成美さん(仮名・39歳)。5年前に亡くなった母の葬儀の際に、良かれと思って選んだ「香典返し」に周囲が仰天。後悔しているという話を聞きました。
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母との突然の別れ 戸惑いながらの葬儀の準備
小野田成美さん(仮名・39)は、5年前に愛するお母さんが仕事先で倒れて急に亡くなったそうです。幼いときに父を亡くした成美さんは、女手ひとつで育ててくれた母の遺体を前に、どうしてよいかわからず冷静さを失ったと語ります。
成美さんのお母さんは運ばれた病院で明け方に息を引き取り、数時間後には寝台車に乗せられて自宅へ。成美さんは東京近郊に住んでいて自分の車を運転して病院へ駆けつけたので、自分の車で寝台車より先に実家へ向かったそうです。
実家に到着したものの、なにをどう準備してよいのか途方に暮れていたといいます。すると、葬儀社の方がやってきて「いつも寝ている布団で構わないので出してください。それとご用意があれば白いシーツもお願いします」と頼まれたといいます。大学進学を機に家を離れていた成美さんは、記憶を頼りに寝具を出すことになったそうです。
「布団はすぐに出せたのですが、白いシーツがなくて焦りました。そうしたら葬儀社の方が『シーツがなければこちらでご用意しますので大丈夫です』とおっしゃってくださったんですね。それでお願いすることにしたのですが、スムーズに母を寝かせてあげられなかったことが申し訳ない気分になって……」
子どものころ、おっちょこちょいだった成美さんは、よく忘れ物をして、忙しい母に学校まで持ってきてもらったり、友達に借りたりするなど周囲に頼りっきりでいたそうです。母から「人に頼らずちゃんと自分で用意しなさい」と口癖のように言われていたことを思い出したそうです。葬儀社の方の言われるがまま、お母さんの葬儀の準備を始めたものの、自分で用意できなかった白いシーツのことが頭から離れずにいたといいます。