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仕事・人生

認知症の父 「車の処分」で暴力的に 免許返納でアラフィフ娘が直面した問題

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

写真はイメージです【写真:写真AC】
写真はイメージです【写真:写真AC】

「認知症」。それは、患ってしまった本人はもちろん、見守る周囲も辛い思いをする、大変な病です。そのことに気付いたのは、私の父親が認知症にかかった時でした。父親は自営業をしていたので、会社を畳むサポートからスタート。携帯電話の解約、未納金の納付、そして、自動車免許の返納……やらなければならないことが様々にありましたが、今回は、自動車免許の返納にスポットを当て、前後編にてお届けします。

 ◇ ◇ ◇

免許に固執する父 仕方なく車から処分することに

「ご主人の運転、かなり危なっかしいわよ。大丈夫?」
実家の近所の人が、ある日家を訪れ、母にそう告げたそうです。

 認知症を患い「要介護認定2」となった父。家族はもちろん、周囲の人たちも父の運転に対して不安を抱えていて、何度も何度も免許を返納するよう助言しましたが、父は頑なに拒否していました。

 せめて車の代わりになれば……と、昨年夏には電動アシスト式自転車も購入。しかし、父は異常なまでに自動車に固執し続け、免許を手放そうとしなかったのです。

 そこで、母や兄と話し合い、まずは家にある車を処分することを決めました。ディーラーの方に連絡をし、経緯を話しました。すると、意外な反応が返ってきました。

「やっぱり認知症でしたか。実は、お父様からこちらにお電話をよくいただくんですが、昨年くらいから、なんだか言ってる内容がおかしいように感じたことがありまして……。どうしたんだろうと思っていたところだったんです」

 どうやらディーラーの方も、父からの不可解な連絡で認知症を疑っていたようです。「認知症であれば、ご家族が代理で問題ないでしょう……」ということで、必要な書類を母が整えることになりました。

 父は会社名義で車を購入していたため、会社を閉鎖したことを証明する書類を準備しなければならないなど多少の手間はありましたが、ローンは支払いきっていたため、ごく簡素な手続きのみで、ディーラーの担当者が車を引き取りにきてくれ、アッサリと処分することができました。

 しかし、問題が起こったのはその後でした。