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どうぶつ

一度は体験したい芸術のガーラ・SENSORIUMの全貌ルポ! 後半 ーSFオペラハウスー

公開日:  /  更新日:

著者:パツワルド敬子

観客が入りきる前の時間を使って最終確認をするバイオリニスト【写真:パツワルド敬子】
観客が入りきる前の時間を使って最終確認をするバイオリニスト【写真:パツワルド敬子】

Opera house in SF(サンフランシスコのオペラハウス)

 ステージと客席の間には、オーケストラ・ピットがあり、観客からは楽団が見えないように舞台面より低くなっています。当日のダンスパフォーマンスは、オーケストラによる生演奏で行われました。

1階のオーケストラ席から撮った客席の様子【写真:パツワルド敬子】
1階のオーケストラ席から撮った客席の様子【写真:パツワルド敬子】

 第1部のダンスはモダンバレエ。振り付け自体は『白鳥の湖』などでも観られる、クラシックな動きをふんだんに取り入れているものの、裸足でパフォーマンスをする場面も。オーケストラの壮大な音楽を背景に、既存の型にはまらない振り付けで、男女の機微や情熱を表現していました。

 第2部はポップ・ミュージックを取り入れたコンテンポラリー。スニーカーやバギージーンズを衣装に、幾何学的な編成で創作されたダンスは、エンターテイメント性の高い構成でした。観客は、若者のエネルギーがみなぎるステージに惹きこまれました。

 クラシックバレエの振り付けは、型から外れない、厳粛とも言えるルールがあります。そこから派生してできたモダンバレエは、クラシックバレエの要素を盛り込みつつ、より自由に振り付けを楽しむ傾向が。

 一方、コンテンポラリーは既存のダンスカテゴリーに属さないので、一言でジャンルをくくるには難しい作品も多く存在します。例えばアーティストが読んだ本に着想を得て、振り付けの源にすることもある、といった具合です。今回の2部構成は、時代とともに常に新しくなるモダンバレエとコンテンポラリーを、存分に堪能できるものでした。

 1932年の完成以来、サンフランシスコのオペラ芸術を牽引する場所です。当時の建築様式をそのままに残す建物は、欧州を思わせるアンティークな造り。

開演前の静けさが漂うオーケストラ席。歴史を感じるアンティークな内装【写真:パツワルド敬子】
開演前の静けさが漂うオーケストラ席。歴史を感じるアンティークな内装【写真:パツワルド敬子】

 来館するだけで、歴史と芸術に触れたような気持ちになれるのは、時代を感じられる装飾のせいでしょうか。難を言えば、現代の鑑賞椅子に比べると横幅が狭く、長時間の鑑賞は腰が痛くなってしまいそうなこと。舞台に酔いしれていれば関係ない!?

 終戦後には、サンフランシスコ講和条約が取り交わされた歴史深い場所でもあります。現在では、サンフランシスコバレエ団の講演を中心に、さまざまなイベントが開催されています。

 サンフランシスコへ旅行をお考えの方は、オペラハウスの講演スケジュールもチェックしてみてはいかがでしょうか?

※ 参考 Sensorium – San Francisco Ballet
https://www.sfballet.org/season/events/2019-sensorium

(パツワルド敬子)