からだ・美容
年をとってから鍛えても筋肉はつかないって嘘? 専門家に聞く筋肉の“真実”
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美しいボディーラインや腹筋などをSNS上でアップする女優やモデルの影響もあって、“腹筋女子”などのワードも浮上するなど、近年、筋トレブームに沸いていますね。健康意識の高まりもあって、「筋肉をつけたい」とトレーニングに励んでいる人もいるのでは。よく「年をとってから筋トレしても筋肉がつかない」ということを耳にします。本当でしょうか? 筑波大学体育系の教授で、健康増進分野に詳しい久野譜也氏に聞きました。
◇ ◇ ◇
――筋トレは毎日するのが良いのでしょうか?
「傷ついた筋肉が修復される時間が必要なので、毎日のトレーニングは逆効果。この休息期間が十分でないと、慢性的な疲労によるパフォーマンスの低下が生じます。週に2~3回程度が効果的です」
――年をとってから鍛えても筋肉はつかないのでしょうか?
「筋肉を鍛えるのに遅いとか、手遅れとかはありません。筋肉は20代をピークに1年に1%減少、なにもしなければ加齢とともに落ちていきます。しかし正しく筋トレを行うと80代、90代と高齢になってからでも確実に筋肉を増やせることが科学的に証明されています」
――年をとると、若いころと比べて動作が鈍くなったりしますが、これも筋肉が減るせいですか?
「筋肉には『赤身』と『白身』のような、大きくわけて2種類があり、それぞれ役割が違います。ひとつは白っぽい色の“速筋”で、瞬発力など素早い動きを可能にします。もう1つは赤っぽい色の“遅筋”で、ウォーキングやジョギングなど持久力に欠かせない筋肉です。加齢に伴い筋肉が減ると、動作が鈍くなったり、太りやすくなったり、腰痛、眠りが浅い、シワやたるみが気になるなど、さまざまな不調や老化現象が身体に現れます。これらの多くは白身の“速筋”の減少が原因と考えられます」
――老化の簡単なチェックポイントはありますか?
「下半身の老化度合いは歩くスピードで予測できます。歩く速さは、歩調(ピッチ)と歩幅で決まります。歩調が年齢によってほとんど変化しないのに対し、歩幅は加齢とともにどんどん狭くなります。40代後半から50代にかけて歩くスピードが遅くなり始めます。すり足歩きは老化のサインといえます」