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仕事・人生

親日国ベトナムでピザ店を経営 高杉晋作の末裔30代女性が起こす新たな“風”

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著者:Hint-Pot編集部

3店舗で育成しているハーブや野菜【写真:Hint-Pot編集部】
3店舗で育成しているハーブや野菜【写真:Hint-Pot編集部】

自社工場や契約農家も利用した大きなサイクルを形成

 同店では、ピザの“要”ともいえるチーズに強いこだわりがあり、自社でチーズ工場を持ちフレッシュなチーズを毎日生産している。工場で作られたチーズは、 日本の高級レストランなどにも卸しているそうで、そのチーズを作る際に出る「ホエー」を無駄にすることなく、利用しているというのも驚きだ。

 また、実験的に調理に使用した野菜を、再生栽培をする取り組みも始めているという。

「市場から仕入れてくる野菜は、根っこが付いた状態で大量に届きます。しかし、使うのはほんの少し。80%近くは廃棄にしてしまうため、根を植え直し自分たちで育てて、使う部分だけ摘んでいくことができたらいいなと。もちろん経済的にも良いですし、ゴミも出ません。無駄がなくいいことづくめなんです」

 また、契約農家にも、この循環を実践してもらっているという。

「イタリアンでよく使われるルッコラは、完全無農薬。ティンシン ファームという契約農家から取り寄せています。その農場でも牛を飼ってコンポストを使い、完全有機肥料で育てています。そこでもホエーが毎日2、3トン出ており、そのまま捨ててしまうと環境汚染がとてもひどいことになってしまいます。そのため全部引き取ってもらい、発酵させたものを液肥としてルッコラ栽培に使ってもらっています」

「ホエーは栄養素が高いので、どうにか使えないかと考えたんです。農家さんで液肥を使ってもらい、そこで育った野菜を私たちが買う。そういう循環をもっと作っていきたいと思っていますね」

ゴミ問題について問いかける看板【写真:Hint-Pot編集部】
ゴミ問題について問いかける看板【写真:Hint-Pot編集部】

ゴミを分別する必要がないベトナム スタッフの「意識」を変える教育にも力を入れる

 早苗さんによると、ベトナムではゴミを分別して捨てる必要がなく、廃棄物やリサイクルということを意識する文化がまだ定着していないという。そのような土壌で、これらの取り組みに対しスタッフから戸惑いや反発は起きなかったのだろうか。早苗さんは、社員教育にも力を入れてきたと語る。

「街を見渡しても、 プラスチックも資源ごみも全部一緒くたに捨て、唯一、売れる空き缶はお小遣い稼ぎに分別するくらいでした。分別の概念がないため、 サステイナブルな活動をするためだけの部署を社内でつくり、スタッフにミミズコンポストがどのようなものか、なぜ分けるのかなどを説明。キッチンスタッフたちが作業するのを手伝ってもらったりもします。ゴミに対する意識が変化したのをとても感じますね」

「それと意外かもしれませんが、日本よりもベトナムのほうが、プラスチックゴミに関する活動をしている方が多いです。海がプラスチックゴミで汚染され、海の生物が大量に死んでいることが社会問題になっています。そのため4P’sだけでなくベトナムの飲食業界全体で大きな動きになっています」

 4P’sではいち早くプラスチックのストローをステンレス素材のものに変更。また、持ち帰りで使うプラスチックバッグは使わず有機分解ができる素材のものに変えたり、ウェットティッシュのパッケージをプラスチックではないものに変える計画をしているそうだ。なるべく一度しか使わないプラスチック製品は、減らしていくのが企業方針だという。

 ベトナムに新たな価値観を創造し、食や経済の循環を目指す早苗さん夫妻。スタッフや関係者だけでなく、客たちにもその概念を楽しく広める「エデュテイトメント」の取り組みは、まだまだ始まったばかりだ。

(Hint-Pot編集部)