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仕事・人生

日本人は気づきのエリート! 海外で重宝される“女将的スキル”とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・白石 あゆみ

オープン1か月でユトレヒトの「ニューカマーオブザイヤー2017」を受賞。その授賞式にて、表紙を飾った雑誌を手に【写真提供:今井佳奈子】
オープン1か月でユトレヒトの「ニューカマーオブザイヤー2017」を受賞。その授賞式にて、表紙を飾った雑誌を手に【写真提供:今井佳奈子】

日本人の協調性は光り輝く価値!

 飲食業の経営はまったくの初めてだった今井さんご夫婦。まして外国での開業にあたり、苦労したことはなんだったのだろうか。

「オランダでオープンするからといって、特段オランダ人に合わせたスタイルや味覚に合わせていこうということは考えませんでした。そういうお店はすでに存在していたからです。オランダの日本食レストランオーナーのだいたい90%は中国人なんですけど、日本食にこだわりはなく、独自のアレンジを加えていて、何でもありになってしまってるんですよね」

 そこで今井さん夫妻は、とことん“日本らしさ”にこだわった。日本に行ったことがあり、日本が好きで、本物を食べたいと思っている人の期待に添う店にしたい。その一心で、出汁や味付けが現地の食材を使ってもなるべくリアルになるようメニュー作りに励んだ。また、今井さん夫婦がこだわったのは味だけではない。まるで日本にいると錯覚するような空間づくり、日本流のおもてなしも追求したのだ。

「開店するにあたって人材集めには一苦労しましたね。味については“この人がいないと出せない味”というのは、絶対に作らないと決めていました。人が変わっても味は変わらない、ちゃんと日本食だけど誰にでも作れるレシピに仕上げました。ほとんど料理をしたことがない主人でも作れるレシピですから(笑)、シェフを雇う必要性がないんです。ただサービスに関しては全く別で。日本のサービスを提供したい、おもてなしを感じてもらいたいと思ったら、やっぱりリーダー的存在は日本の人でないといけなくて。しかも、まだ海外暮らしが浅い、日本の感覚が残っている人で…」

「高之助KONOSUKE」をオープンし1年、現在オランダ人、ルクセンブルグ人、日本人が混在する状態で営業をしている。実際に働くうちに、より明確に日本人スタッフの重要性が見えてきているという。

「最初、日本人とオランダ人はこんなにも違うんだってびっくりましたね。もちろんオランダ人スタッフたちも、日本に興味があって前向きな子たちばかり。おそらくホスピタリティが高いオランダ人の子たちのはずなんですよ。それなのにスタッフが日本人だけの日とそうでない日で業務進行にすごく差がある。なぜなんだろうと思いましたね」

 日本人とだと働きやすいのはなぜなのか。そこであるひとつの答えにたどり着く。

「日本人は小さい頃から自然と、協調性や空気を読む洞察力を強いられるような環境で育つように思います。ようはそれらの英才教育を受け続けてきたってこと。だから私は日本人は“気づきのエリート”だと思っています。日本にいるとそれが普通なんだけど、海外にいるとその力がすごく貴重。すごく価値のあることなんです」