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続編に期待!? 米国式の応援上映で知った「ボヘラプ」の新しい楽しみ方

公開日:  /  更新日:

著者:パツワルド敬子

多くのLGBTQが集うカストロ地区にある、カストロシアター。1922年に設立され、今も地元民に愛される、サンフランシスコ(SF)のランドマークのひとつ【写真:パツワルド敬子】
多くのLGBTQが集うカストロ地区にある、カストロシアター。1922年に設立され、今も地元民に愛される、サンフランシスコ(SF)のランドマークのひとつ【写真:パツワルド敬子】

米国で再ブーム「ボヘミアン・ラプソディ」のシング・アロング上映に潜入

 アメリカ・サンフランシスコ(SF)に在住の美容家で翻訳家パツワルド敬子さんがアメリカ発のトレンド情報をお届けします。今回は先日のアカデミー賞で主演男優賞ほか、4冠に輝いたことも記憶に新しい「ボヘミアン・ラプソディ」の「シング・アロング」上映に潜入。日本でも注目されている歌って騒げる上映会。アメリカ式はコスプレコンテストや、クラッカー、サイリウムなどお祭り要素たっぷり! 日本との違いに注目してみてください。

 ◇ ◇ ◇

 映画上映に、「シング・アロング(sing along)」というバージョンがあるのをご存じですか? 日本では「応援上映」と呼ばれているようです。すべての映画にこのバージョンが存在するわけではなく、特に歌が多い映画に作られることがあるバージョンです。

 歌のシーンになると、画面下部にはカラオケのように歌詞が映しだされるので、観客は、映画のキャラクターと一緒になって歌うことができます。中には喉が枯れるほど大声をだす人もいるとか!?

 アメリカでは、主に子ども向けのミュージカル作品に多くみられるシング・アロング。子どもが夢中で歌う姿はさぞかしか可愛いでしょうね。最近の大人向け上映では、ビートルズを題材にした映画「イエロー・サブマリン」のシング・アロングが人気を集めました。

 しかし、歌が多い映画で、無視できない作品といえば、いくつもの賞を総なめにし、大ヒットを続けている『ボヘミアンラプソディー』! 先日行われた、第91回アカデミー賞では、主演のラミ・マレック氏が見事にオスカーを手にしました。

 編集賞・録音賞・音響編集賞、そしてオスカー。最多4部門という受賞熱が高まってか、北米では現在、シング・アロングバージョンが公開され、通常上映を鑑賞済みの人たちが、再度シアターを訪れて歌を楽しむ、という現象が起きています。

 昨年の11月に、韓国で上映し大ヒットしたことを受けて、北米では今年1月から、750館での上映が決定しました。当初は短期上映を予定していましたが、予想を上回る盛り上がりに、各館で上映が延長されています。

 嬉しいことに、日本でもいくつかの映画館では「シング・アロング」バージョンが上映されるようですね。そこで今回は、SFの「シング・アロング」上映の全貌と、鑑賞時のマナーをご紹介します。

入り口は長蛇の列!オンラインでチケットを購入済みの人たちが並ぶ。中央のブースに並ぶのは当日券を求める人たち【写真:パツワルド敬子】
入り口は長蛇の列!オンラインでチケットを購入済みの人たちが並ぶ。中央のブースに並ぶのは当日券を求める人たち【写真:パツワルド敬子】

リピーターだからこそ好きなシーンを把握して騒げる

 SFにある、カストロシアターの「シング・アロング」上映ルポです。価格は大人1枚が16ドル(約1700円)。このシアターでは、オンライン決済を選ぶと手数料に5ドル50セント(約600円)が加算されます。1枚購入するごとに手数料がかかるのではなく、1回の決済につきかかる金額です。つまり2枚とか4枚とかを同時に購入しても、手数料は5ドル50セントということに。

 青春時代にクイーンを聴いていた世代なのか、グレイヘアの観客が目立ちました。残念ながら当日券は売り切れだったようで、なんとか入れないかと交渉する人の姿も。

観客全員に配られたのは、王冠・クラッカー・シャボン玉・サイリウム(ペンライト)。観客は好きな時にクラッカーを鳴らせる【写真:パツワルド敬子】
観客全員に配られたのは、王冠・クラッカー・シャボン玉・サイリウム(ペンライト)。観客は好きな時にクラッカーを鳴らせる【写真:パツワルド敬子】

 日本の「シング・アロング」上映で、同じようにグッズが配られるかは、定かではありません。しかしSFの上映では、おもちゃが入場口で手渡されました。写真は2人分です。

 映画の上映中なのにペンライトを振ったり、シャボン玉を飛ばせるなんて、アメリカならではかもしれませんね。大人も子どもも、恥ずかしがらず王冠をかぶるのがかわいらしかったです。

 クラッカーは、観客それぞれが一番思い入れの強い場面で鳴らしていました。個人によって盛り上がる場面が違うので、10分おきに誰かがクラッカーを鳴らすということに。静かに鑑賞を楽しみたい人には向きませんが、楽しく騒ぐのが目的で来場している人たちなので、なんの問題もありません。

 特徴的だったのは、すでに通常上映を鑑賞済みのリピーターが多いこと。物語がどうなるかをわかっているので、好きなシーンを把握して騒ぐ、という楽しみ方をしている人が主流でした。