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「神がかってる」 完成度が高すぎる「日用品ヒーロー」に絶賛殺到 見慣れた容器の変身ぶりに「公式キャラクターに」の声

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

人形のボディには見覚えのあるラベルが…【写真提供:安居智博(@kami_robo_yasui)さん】
人形のボディには見覚えのあるラベルが…【写真提供:安居智博(@kami_robo_yasui)さん】

 大人が夢中になることも多いフィギュア。海外から東京にある専門店を訪れ、目当ての商品を熱心に探す外国人も少なくありません。既製品も魅力的ですが、X(ツイッター)ではプロの造形作家が日用品から生み出したオリジナルフィギュアが大きな話題に。制作者の安居智博(@kami_robo_yasui)さんに詳しいお話を伺いました。

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「『サンポォォォルマン!!』な感じで脳内再生された♪」

「サンポールの容器5本を細かく切って針金でつないで、全身が動く人形を作りました」

 そんなコメントとともに投稿された4枚の写真。1枚目には、細部まで丁寧に作られた、かっこいい緑色の人形が写っています。2枚目では、人形が膝を曲げて腕をかまえ、まるで戦いに挑むかのような姿が。

 とても迫力がありますが、どこか既視感のあるボディの色と凹凸。胴体部分には、目にしたことのあるラベルの一部が……。その半信半疑の気持ちをすっきりさせるのが、3枚目の写真。なんと人形の素材として使われていたのは、トイレ掃除用洗剤の容器でした。

 4枚目の写真には、作業机の上に置かれた人形、使われた針金や道具とともに、切り出されて残った容器のかけらが写っています。

 素材と高い完成度のギャップを感じる作品に、12万件もの“いいね”が集まりました。リプライ(返信)には「クオリティ高っ すごいですね」「パンツと関節の箇所、神がかってる」「『サンポォォォルマン!!』な感じで脳内再生された♪ ポージングもできるってすごいかも」「これ欲しい!!!!」「発想力がすごい! 公式キャラクターにしてほしい」など、絶賛の声が多数寄せられています。

海外でも人気の造形作家が手がける「日用品ヒーロー」

100円ショップの商品を使った躍動感あふれる作品も【写真提供:安居智博(@kami_robo_yasui)さん】
100円ショップの商品を使った躍動感あふれる作品も【写真提供:安居智博(@kami_robo_yasui)さん】

 造形作家である安居さんは、フィギュア原型やイラストなども手がける多才なアーティスト。2006年にニューズウィーク誌「世界が尊敬する日本人100」に選出されたほか、ニューヨーク近代美術館のショップで作品が販売されるなど、国内外のアートシーンで高い評価を受けています。

 話題の人形は、1種類の日用品を何個もつなぎ合わせて作る「日用品ヒーロー」という作品のひとつとして制作されました。8歳の頃から作り始めたというペーパーフィギュアの「カミロボ」と並び、日用品ヒーローは書籍「100均グッズ改造ヒーロー大集合」(平凡社刊)になるほどの人気シリーズです。安居さんのアイデアの素晴らしさに加え、見慣れたフォルムを生かした作品は、見ているだけでワクワクします。

 今回の制作期間は、2週間ほどだそう。緻密なディテールのため、図面などを引いてから制作にかかるのかを聞くと「初めて触る素材は加工してみないとその特性がわからないことが多いので、実際に作りながらデザインを構築していくスタイルで作っています」と安居さんは説明。一般的なクラフト用素材ではない大変さと、おもしろみを感じます。

 さらに、トイレ掃除用洗剤を選んだ理由については「人々に長く愛されてきた、誰もが知っているロングセラー商品で、非常に印象が強いデザインであること、商品の存在感がかわいいということで選びました」と語ります。

 全身が動くという特徴から、今回の作品をはじめ安居さんの「日用品ヒーロー」は、躍動感のあるポージングも魅力です。撮影時のこだわりは、あるのでしょうか。

「写真を撮るときは、生きているような『存在の気配』が感じられることを重視しています。日本には、人が使った道具に精霊が宿る『付喪神』のイメージが古くからありますが、『日用品ヒーロー』はそういった感覚の現代版だという意識があります」

 大きな反響を呼んだ安居さんは、11月2日(土)~10日(日)に、京都市にあるギャラリーDAIMONにて個展「シンクロ・シンキロー」を開催予定。現在は新作を鋭意制作中とのことで、素敵な作品を観られるのが楽しみですね。

(Hint-Pot編集部)