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夫が相談なく40代後半で別業種に転職 ストレスをぶつけてきて家庭内がギスギスに どうすればいい? 夫婦カウンセラーが回答

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵、夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

勝手に転職した夫があたり散らすように(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
勝手に転職した夫があたり散らすように(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 生活をともにするパートナーの転職は、暮らしや将来設計に関わる一大事。転職したい理由や条件面など、きちんと相手に理解してもらってから進めるのが理想です。しかし、40代後半の夫が突然、転職をしたことで家庭内に不穏な空気が流れてしまったという女性が。息子のことも考え、今後どうしていけばいいのか悩んでいるといいます。夫婦カウンセラーの見解とは。

 ◇ ◇ ◇

夫が転職してキレやすくなった

「40代後半の夫が、家族に何の相談もなく転職を決めてしまいました」

 そのことに怒りを覚えているというのは、この春中学1年生になる息子を持つ神奈川県在住の佐藤月菜さん(仮名・39歳)。

 夫との出会いは15年前。月菜さんが新卒で入ったソフトウェア開発の会社で、夫はSEとして働いていました。夫とは職場で出会い、結婚に至ったといいます。

「夫は優しい人なんですが、絶望的にコミュニケーションが苦手といいますか……。会話がヘタで、言いたいことが他人に伝わりにくいため怒りっぽい面があります。夫と結婚することを会社に報告した際、ほぼ全員から『え!? あの人で本当に大丈夫なの!?』と驚かれました」

 それでも仕事に対しても、生活面でもまじめ。お金の管理などもすべて任せてくれることになり、月菜さんは出産を機に退職し、専業主婦になりました。しばらくの間、穏やかな日々を過ごしていましたが、夫が無断で転職したことで、事態は一変します。

 夫が転職したのは、SEではなく、なんと人材派遣会社の営業。コミュニケーションが苦手な夫にとって、他人と話す機会が多い新しい仕事は、ストレスフルだったようです。給料は微増しましたが、日に日に暗い顔になり、朝からため息をつくようになってしまいました。

 また、最近では月菜さんや息子に対し、ちょっとしたことで当たり散らすように。最初の頃こそ夫に寄り添おうと考えていた月菜さんですが、最近はうんざりしているそうです。

「家族に相談もせず勝手に転職して、勝手にストレス溜めて、勝手に当たり散らして……。息子は多感な時期なのに、悪い影響を及ぼしていると思います。ただ、専業主婦なので離婚したとしても、息子の教育費などお金の不安があります。どうすればいいでしょうか?」

夫の考えを聞いて対応を

「転職に関する相談がなかった点は、確かにいただけませんが、今回の転職までは不満なく暮らしていたというのであれば、夫側に挽回の余地を与えてもいいように思います」というのは、夫婦カウンセラーの原嶋めぐみさん。

 原嶋さんの考える「挽回の余地」とはどのようなものなのでしょうか。

「夫は40代後半ということは、就職氷河期世代。まったく違う業種へ転職を考えたのは、周囲の影響や前職での今後の昇給見込みなどから、将来に対する不安があったのかもしれません。夫がコミュニケーションが苦手なことを最も理解しているのは、妻である月菜さんでしょう。まずは、転職時にさかのぼって、夫の気持ちを聞いてみてください」

 もしも、金銭面など将来への不安が根底にあるのであれば、「月菜さんが働いて、ある程度家にお金を入れれば、夫が抱えている不安が軽減する可能性もあります」と原嶋さんはいいます。

 一方、転職は自分の力量を試してみたかったといった理由であれば、月菜さんが感じている不満や、夫の態度がどのような悪影響を家庭に及ぼしているのかをしっかりと伝えた方がいいようです。

「話し合いの前に、息子さんの気持ちを聞いておき、それを伝えるのもいいかもしれません」

 夫自身が会社にかけあったり、再度転職をしたりと、前向きに動いてくれることが理想ですが、最終手段として、「夫の会社に相談しに行ってもいいと思います」と原嶋さん。口下手な夫に変わって月菜さんが夫の現状を会社に伝えることで、環境が変化する可能性もあります。その際、事前に夫の意思はしっかりと確認してからにしましょう。

 もちろん話し合い自体が成立しない場合も。そういったときに備えて、原嶋さんは可能であれば月菜さん自身も早めに働き出すことをおすすめします。

「安定した暮らしは、一方的に夫が与えるものではありません。夫婦ふたりで家庭を築き上げていくことが大切です」

(和栗 恵、夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ)