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ブルガリア人「ごめんなさい、うるさくして」→マンションで謝ったら… 30年前から感じていた日本人の「優しさ」 心にしみた思いがけない言葉とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

ブルガリア出身の、シルビア・ヴァレシヴァさん【写真:Hint-Pot編集部】
ブルガリア出身の、シルビア・ヴァレシヴァさん【写真:Hint-Pot編集部】

 海外で暮らす日本人が現地の人々の温かさに触れて感動するように、日本を訪れた外国人もまた、日本人の優しさに心を動かされることがあります。約30年前に日本で暮らした経験があるという、ブルガリア出身のシルビア・ヴァシレヴァさんは、日本人との思い出を今でも鮮明に覚えているといいます。いったい、どんなことがあったのでしょうか。

 ◇ ◇ ◇

研究者の夫とともに叶えた、6年間の日本生活

 画家として活動しているシルビアさん。現在、アメリカのサンディエゴで暮らしています。1990年から1996年まで、研究者の夫の仕事で日本に滞在していました。

 最初の2年間は大阪で生活。その後、東京、そして仙台へと移り、合わせて6年間を過ごしました。シルビアさんは日本語を理解し、少しだけ話すこともできます。

「日本で子供を育てて、多くの言葉を学びました。日本人の子供たちや、子供たちのお母さんたちともよく話をしたから。日本語でお話しできることは、喜びです。日本を思い出すことができて、とてもうれしいのです」

 そう語るシルビアさんの言葉からは、日本への深い愛情が伝わってきます。

「みんなが私を助けてくれた」 安心できた日本での子育て

日本で撮影した家族写真【写真提供:シルビア・ヴァシレヴァ】
日本で撮影した家族写真【写真提供:シルビア・ヴァシレヴァ】

 シルビアさんが日本での暮らしで最も印象に残っているのは、人々の優しさだったといいます。

「当時、まだ幼子を抱えて外国で生活することは難しいことでした。でも、多くのいい友人に恵まれました」

 異国の地で小さな子供を育てる不安は、想像に難くありません。しかし、周囲の人々のサポートがシルビアさんを支えてくれたそうです。

「みんなが私を助けてくれました。そして、日本は安全な国でした。日本人はみんな外国人に優しく、ハッピーにさせたいと思っていると感じました。それは素敵なことです」

 日本のことを考えると、常に優しくしてくれた人たちのことが頭に浮かぶというシルビアさん。とくに忘れられないエピソードがあるといいます。

「丘の上のマンションの上階に住んでいたのですが、近所に日本人のカップルが住んでいました。エレベーターの中で子どもが泣いてしまって、その女性に『赤ちゃんが歌っていますね』と言われたんです。私が『ごめんなさい、うるさくして』と謝ったら、彼女は『ノー、ノー、歌が楽しめて、うれしい』と微笑んでくれました」

 赤ちゃんの泣き声を「歌」と表現し、それを楽しんでいると伝えた近隣住民の優しさ。その心遣いは、30年近く経った今もシルビアさんの心に温かく残っています。日本での6年間は、シルビアさんにとって、人々の優しさに包まれた、かけがえのない時間だったのです。

(Hint-Pot編集部)