聴覚に障害を持つ人とコミュニケーションをとる手段である手話は、身近に使い手がいないと、学ぶ機会が少ないものです。しかし、美容室という場所でそのスキルを発揮し、多くのお客様の“言いたいけれど伝え切れない”願いを叶えている美容師がいます。渋谷の美容室で働くYAMATOさんは、手話でのカウンセリングを得意とする美容師。今回は、伸びた髪を整えたいという女性が、YAMATOさんの手話による親密なカウンセリングと、卓越した施術を受けました。いったい、どのような変身を遂げたのでしょうか。

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家族からきっかけをもらい、手話ができる美容師の道へ

　YAMATOさんが手話を使える理由は、特別な家庭環境がありました。お姉さんと弟さんが生まれつき聴覚障害を持っており、幼い頃から手話がある生活を送っていたのです。ご両親が美容師だったため、中学生の頃からお手伝いで美容室に立つことがあったそう。そのときに、強みである手話を生かして、障害がある人でもかわいく、かっこよくなれるきっかけを与えたいと思い、美容師を目指しました。

　今回、YAMATOさんのもとを訪れたのは、1年前に前下がりのボブにしたという女性。髪が伸びてきて形が崩れてしまい、きれいに整えたいそうです。

　カットを始める前に、YAMATOさんは希望するスタイルについて、手話を使ってカウンセリングを行います。

　女性からの要望は「仕事のときは後ろでまとめるから、結べるくらいの長さで」「ほどいたときに髪を切ったと思われるくらいの変化が欲しい」というものでした。

　手話でのやりとりは非常に細かく、YAMATOさんはただ言葉を受け取るだけでなく、結ぶのに必要な長さや、仕上がりのイメージについて、実際に髪を持ち上げたり、鏡で見せたりしながら、女性と一緒に綿密にすり合わせていきます。髪の量や前髪の希望も丁寧に確認し、カットがスタートしました。

長さも形もオーダー通り！　鏡に映る軽やかボブに満面の笑み

　カットし終えると、伸びて不揃いだった毛先は完璧に切りそろえられ、すっきりとした軽めのボブに仕上がりました。最初に感じられた重たい印象が一掃され、肩につかない程度の長さという要望もクリア。結ぶことも、ほどいたときに変化を感じることもできる、まさにオーダー通りのスタイルが実現しました。

　仕上がりを見た女性は、大満足の様子で満面の笑みを浮かべます。YAMATOさんの手話による親身なカウンセリングと、それを形にする高いカットの技術が結びつき、理想のスタイルへと素敵に変身できたのです。

　この動画には「カットも手話もレベルが高すぎる……！」「細かいニュアンスまでちゃんと把握して仕上げてるのすごい！」など、コミュニケーションの壁を乗り越え、要望通りに仕上げるYAMATOさんの技術力に、称賛の声が多数寄せられています。

（Hint-Pot編集部）