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高齢者ドライバーの実態 赤信号「これ行っちゃっていい?」 教習所指導員が語る

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

写真はイメージ【写真:写真AC】
写真はイメージ【写真:写真AC】

新規免許取得の技能検定であれば1割の人しか合格しない? 高齢者ドライバーの実態とは

 実際に高齢ドライバーの運転を毎日見ているAさん。体感的にどの程度の人が運転に何かしらの問題を抱えていると感じでいるのだろうか。

「とんでもない運転をする人は、それほどいません。ただこれが講習ではなく技能検定だとしたら、合格できそうな人は全体の1割程度に感じますね。もちろん乗り慣れていない教習車で練習時間があるわけではないのでハンデがあります。ただ、たいていの方はS字カーブで脱輪をされますね」

 Aさんの個人的見解では、しっかりと運転する人ほど運転技術の低下を認識し、逆にめちゃくちゃな運転をする人ほど運転に自信を持ち続けている傾向にあるそうだ。それでも80歳を目途に免許を自主返納しようと考えていると話す人は多いという。

「実は運動機能が甚だしく低下している人はあまり見かけません。それよりも“強引”な面が目立つ方が増えているように思います。過去に2度ほど赤信号とわかりながら、『これ行っちゃっていい?』と質問してくる高齢者ドライバーがいました。私はあえて『自分で考えてください』というようにしています。答えを言わないことで、なぜOKが出なかったかを自分で考える時間を作るためです」

 実際に2018年5月に、平塚で90歳の女性ドライバーが赤信号を認めながらそのまま進行し、4人の死傷者を出す大事故となった例もある。内閣府の交通安全白書によると、『75歳未満の運転者では内在的前方不注意,安全不確認が比較的多く発生している』という。また、警視庁も高齢ドライバーによる信号無視に警鐘を鳴らしており、『防ごう! 高齢者の交通事故!』では、高齢者の死亡事故事例と交通事故防止アドバイスを掲載。一番目の事例に信号無視を取り上げている。

 高齢になるほど一時不停止や信号無視の割合が高いのは、うっかりミスだけではないのかもしれない。

「本人の生きがいや生活の足を奪ってしまうことになるかもしれないので、私たちの立場から運転をやめたほうがいいとは絶対に勧めません。けれども、もしご家族でご高齢のドライバーに対して心配があるのであれば、各都道府県に『運転適性相談窓口』が設けられているので利用してみてはどうでしょうか。第三者から運転に対する助言や自主返納の働きかけをしてもらうことで、案外すんなりと受け入れてくれるかもしれません」。

 内閣府の交通安全白書によると、免許の自主返納数は平成21年に比べ30年は8倍にも増えており、高齢免許保有者の意識も変わりつつあることがわかる。だれもが突然、“加害者”となりうる自動車事故。悲惨な事故が起きないよう、過信をすることなく、安全運転に努めてほしい。

(Hint-Pot編集部)