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樹木希林さんが貫いた夫婦の絆 私たちはなぜハチャメチャ夫婦に共感するのか
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“どうしようもなさ”とどう付き合うかが人の道
2009年秋、雑誌の企画で本木さんをインタビューする機会に恵まれた。普段は家族のことを話さないという本木さんが、このときは子育てについて語ってくれた。ごく一部を引用する。(インタビュワーは、おおた)
――おじいちゃん、おばあちゃんのことを、お子さんたちはどう呼んでいるん
ですか?
本木 樹木さんのことは「ばあば」、裕也さんのことは「ゆうや」って(笑)。
――ロックの神様を呼び捨てですか……(笑)。
本木 樹木さんは、何でも子供にわかりやすく説明するというよりは、「大人には大人の、子供には子供の、“どうしようもなさ”があって、それとどう付き合っていくのかが人の道なのよ」みたいなことを子供たちに教えてくれています。
――哲学ですね。
本木 裕也さんは“どういうタイミングでどういう反応を示してくれるのかわからないおじいちゃん”という感じ。最近でこそ、おじいちゃんがどんな人なのかわかってきたみたいですけど、小さかったころは、ただ脅えていましたよ。だけど、やっぱり裕也さんでも、孫にはとても優しい表情や語りかけ方を見せることもあるんです。そして、あんまり距離が縮みすぎる前にサッと引くみたいに、微妙な距離感を保っているように思います。
※「FQ JAPAN」2009年冬号より。
いま振り返れば、このころはすでに「長い夫婦の戦い」が終わった後。本木さんの言葉からは、達観する樹木さんと、それでもやんちゃでシャイな裕也さんの微笑ましい関係が想像できた。