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ライフスタイル

LA発ナチュラリストせいこさんの自然に囲まれた背伸びしないライフスタイル

公開日:  /  更新日:

著者:小田島 勢子

子供たちはバックヤードで動物にエサを与える【写真:小田島勢子】
子供たちはバックヤードで動物にエサを与える【写真:小田島勢子】

朝は豚の鳴き声が目覚まし時計に 1日の始まりは裏庭で動物たちと

 朝日が昇る前。食事作りから始まります。土鍋から湯気とともに漂うご飯の炊ける音と香りに包まれながら、お弁当という箱のキャンパスに色とりどりのお野菜を並べ、自分の世界を「造る」ことを日々楽しみます。

 ハーブやお野菜は、少しではありますが季節ごとにバックヤードで育て、収穫したり、土曜の朝に開催される近くのファーマーズマーケットで新鮮なものを購入しています。レンコンやごぼうなどもアジアンマーケットで気軽に手に入るので、とてもありがたい環境です。

 そうこうしている間に日も昇り、「お腹が減ったんですけども」と言わんばかりに裏庭のスイが「ブーブー」と、午前7時を告げます。面白いくらい正確に。“天然の目覚まし時計”で子供たちは眠りから覚め、スイの鳴き声のアラームを止めるべく、裏庭へ行き動物たちの朝ご飯を用意します。夏の朝にはさんさんと降り注ぐ太陽の光が、冬の朝は霧のこもった土の香りが子供たちの脳を刺激します。こうやって、我が家の1日は始まります。

バックヤードを望むテラス ペットの犬のトウフが伸びをするのを眺める【写真:小田島勢子】
バックヤードを望むテラス ペットの犬のトウフが伸びをするのを眺める【写真:小田島勢子】

束の間ほっと一息 バックヤードで頂くお茶でぜいたく時間を過ごす

 小さいながらもオレンジやオリーブの木に囲まれた裏庭は、私にとってかけがえのない最高の空間です。家族が出かけて行った後の静けさの中、下の子がプリスクールへ行っている2時間の間に、たっぷりやることはあるのですが、食後の日光浴をしている動物たちのそばで、ホッと一息頂くコーヒーやお茶。ほんのひと時ですが、とてもぜいたくな時間が過ごせます。

産みたての卵。さあ、なににして食べる?【写真:小田島勢子】
産みたての卵。さあ、なににして食べる?【写真:小田島勢子】

 お昼が近くなると、今度はお寝坊なうちのコッコさんたちがエッグソングを歌い出します。エッグソングとは、卵を産んだ時に出す声のこと。プリスクールから帰宅した娘と鶏小屋のドアを開け、コッコを外に放します。娘の狙いは一つ。生まれたてのまだ温かい卵をわしっとつかみ、「卵かけご飯!」と目をキラキラさせるのです。

帰宅後一緒に遊ぶ3人娘の傍らに 晩ごはんもできる限り一緒に作る

 午後は、エレメンタリースクールから2人の子供達も帰宅。それぞれ宿題を済ませたら自由時間です。娘たちも裏庭で過ごすことが大好き。ハンモックで本を読む長女、虫と花を見つけて喜ぶ次女、鶏を追いかける三女、それぞれの世界を楽しんでいる平和な時もあれば、一つのものの取り合いで、3人の駆け引きや頭脳プレー、泣き顔を見ることもあります。学校の授業や宿題でタブレットを使うことが多いので、その日の流れで皆でタブレットを使って映画を見る日も。どんな風に過ごすかは日によって違いますが、いつも必ず姉妹3人がそばにいること。そしてその傍らに私がいること。このスタイルこそが大切だと思っています。

 晩ごはん作りはできるだけみんなで。9歳はお味噌汁とスープ、6歳は米とぎ、4歳はサラダ作りを担当します。自分たちでこね、発酵させ育てた味噌や手作りドレッシングを使うことの喜びや、「美味しい!」の言葉がそれぞれの自信になって、お手伝いを楽しんでいるのが伝わってきます。最近は3人がおにぎりを握ります。大きさもバラバラ、強く握れずボロボロのユニークなおにぎりですが、塩味が効いていてとても美味しいです。