インタビュー

「ADHD」の28歳女性 病と上手に付き合いながら実践する仕事の工夫

著者:Hint-Pot編集部・白石 あゆみ

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自分なりの工夫をし努力することで周囲の理解が得られるように

 これだけ対策を講じていても、ミスをするときはもちろんある。そんなとき職場の仲間はどのように受け止めてくれているのだろうか。

 以前は、トラブル対応をするといっぱいいっぱいになってしまい、周囲が見えなくなってしまっていたという本田さん。特にお客様に怒鳴られたりすると、頭のなかが真っ白になってしまい、直前まで何をしていたか全く思い出せなくなってしまうこともあったそうだ。

「いまはなるべく作業を分けて行うことを意識していますね。そして、スタッフも私が同時に色々な作業をすることができないと理解してくれています。なので、『こっちをやってください』、『これ、やり忘れているよ』など教えてくれたり、私がパニックを起こしていると『何かあったら呼ぶので集中していいですよ』など、手を差し伸べてくれる親切な人ばかり。本当に周囲の人に恵まれたと感謝しています」

 周囲の人たちの理解や協力を得られるようになったのは、もちろん本田さん自身の努力があってのことだろう。

「自分基準を大切に」 周囲と比べて辛くならないで

 一生懸命仕事をこなす本田さんに、いまの仕事は適職だと感じるかを聞いてみた。

「合う、合わないではなく、私は“合わせる”という気持ちで働いています。そうすれば、できないことも工夫をして乗り越えようと思えますし、それが共にこの個性にぶつかって試行錯誤してくれた上司やスタッフのみんな、会社への恩返しになると思っています」

 今後の展望は、ゆっくり自分のスピードではあるが、昇進を目指しているという。また、大学で学んだイラストレーターやフォトショップなどを使い、店舗の掲示物を作成するといった特技のスキルアップをしていきたいそうだ。

「私が同じ病気に悩んでいる人に伝えたいのは、決してADHDだからと言って、劣っている、悪いことだと考えないでほしいと思っています。“自分基準”をおろそかにし、周囲と比べると追い詰められ、余計に余裕がなくなっていきます。“分からないことは分からない人にしか分からない”。けど、それが分かるからこそ後輩や困っている人への手の差し伸べ方や、適切な声かけができると思うと、きっと心も楽になるのではないでしょうか」

「その一方で手助けをしてもらうことは、当然のことではありません。自分がフォローをしていただいたとき、テンパってしまってその場でお礼がうまく言えなくても、後から言いに行ったり、お菓子をデスクに置いておいたり、ちゃんと“ありがとう”の気持ちを周囲に伝え続けることも大切だと、私は考えています」

「そして、ADHDの方を雇用する企業の方にお伝えしたいのは、ADHDは特別な病気でも危ない病気でもありません。まずは、私が会社からしていただいたように、一緒に話してみるということから始めてみていただけませんでしょうか」

 ADHDはひとつの「個性」。周囲と話し合い、理解し合うことで、お互いにずっと働きやすくなるはずだと、本田さんは語った。