仕事・人生
人気ピザ店をベトナムで経営する30代日本人夫婦 世界が注目する「人材育成術」とは
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日本のような“阿吽の呼吸”はない ピザを知らないスタッフに価値観を伝える難しさ
ベトナムはマーケットの平均年齢が若く、伸び続けているというが、やはり日本の人材育成とは、大きなギャップがあるように思える。しかし、早苗さんはその難しさに「海外だから」という理由はないように思うという。
「ベトナムでの違いは、日本に比べ所得格差が大きく、常連のお客様とスタッフでは、生活水準が異なります。日本ではそのお店のファンが、働くパターンも多いじゃないですか。そうすると伝えたいこと、提供したいサービスの共有がとてもしやすいと思うのですが、これまでピザを食べたことがなかったスタッフも多く、うちのようなレストランでお客様としての体験が無いという子がほとんどなんです。そんなスタッフたちに、お客様が何を望み、期待しているかを共有しないといけないという難しさは、日本で感じることはあまりないと思いますね」
「でも日本でも価値観を共有するのが難しい場合もありますし、このようなマネジメントが難しいというのはどこも一緒じゃないかなと思います。逆に言葉の壁やカルチャーの違いは、この差異を前提とするので逆に理解しようと努力しやすいというか……。価値観の共有に関してもそもそも違うことが前提なので、できる限りすり合わせていこうというスタンスでは臨めますね」
早苗さんはむしろ、日本のほうが空気を読んだり、「わかるでしょ」という阿吽の呼吸のようなコミュニケーションを求められたりするので、実は理解しあっているつもりでも、蓋を開けてみたら全然違う方向をむいているという可能性があるのではないかという。そのため、ベトナムのほうが誤解を事前に防ぎやすく、ショックを受けにくいのではないと早苗さんは語る。