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“逃げ場所”を作って 愛犬や愛猫とスムーズに避難するには 日頃から備えておくべきことを獣医師に聞いた
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能登半島地震発生後、X(ツイッター)などで多く見られた、「地震に怯えて猫が隠れて出てこない」という声。数日間にわたって怯えている場合は、どのように対処するのが良いのでしょうか。また、「猫がパニックになって脱走してしまった」という投稿も。普段から災害に備えておくべきことはあるのか、下京ねこ診療所院長で獣医師の長谷川諒さんが解説します。
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まずは飼い主が落ち着くことが大切
大地震や台風などによる音や揺れで、愛犬や愛猫が怯えている場合、まずは飼い主さん自身がしっかりと落ち着いてください。人間も被災によりストレスを感じると、少なからず声色や口調、動きに表れ、ペットはそれを繊細に感じとります。飼い主さんの不安は、想像以上にそのまま愛犬や愛猫に伝わるのです。
心を落ち着けたら、優しく名前を呼んであげたり、ゆっくりと撫でてあげたり、飼い主さんや自身の匂いがついた毛布で覆ってあげたりしてください。また、遊ぶ余裕がある子の場合は、気を紛らわせるために好きなおもちゃや猫じゃらしなどで一緒に遊んだりするのも良い方法です。
もしも、猫が怯えて家具の裏などから出てこなくなってしまった場合は、おうちの中の安全が確保できている状況であれば、基本的に猫が自分から出てくるまで待ってあげましょう。ほかにも名前を呼びかけたり、好きなおやつで気を引いたりするのも良い方法ですが、無理やり引っ張り出すことだけは絶対にやめてください。不安でいっぱいな猫を無理に引き出すとパニックになり、暴れてそのまま脱走してしまう可能性もあります。
1日以上経っても怯え続けている場合、愛犬や愛猫にけがの様子がなくても、不安や恐怖が原因で食欲がなくなっていたり、動けなくなったりしていることもあります。優しくスキンシップをしても改善しないときや、嘔吐や下痢を繰り返すようなときは、動物病院の受診を考えましょう。状態によっては抗不安薬や、緩和するためのサプリメントの処方があるかもしれません。
“逃げ場所”を作っておくと脱走防止になる
1月1日発生した能登半島の地震でも、猫が脱走してしまったというSNSの投稿が目立ちました。家の損壊が原因の場合もありますが、まずは日頃の備えとして、脱走防止のために外に逃げてしまいそうな隙間は塞いでおきましょう。
また、猫はその生態から体を隠すことができる暗くて狭い場所を好みます。ハードタイプのキャリーケースに飼い主さんや自身の匂いがついた毛布を入れ、危険や恐怖を感じたときに素早く逃げ込める場所を準備しておきましょう。普段からこの“逃げ場所”に慣れていると、何があるかわからない外の環境に飛び出すよりも安全と認識して、キャリーに逃げ込み、脱走の防止にもつながります。
普段は外に出ようともしない犬や猫でも、災害でパニックに陥ると開いていた窓やドア、網戸を突き破って脱走してしまうケースも少なくありません。犬が乗り越えられる高さであれば、開けたままにせずきちんと窓を閉める習慣をつけましょう。また外につながっているドアには、愛犬が近づけないように飛び越えられない高さのゲートや柵を設置することも大切なポイントです。
加えて、脱走してしまったときに備え、マイクロチップの装着をしておくといいでしょう。実際、過去に大きな地震が発生したとき、脱走した多くの犬が愛護センターや保護施設などに収容されました。一度は飼い主さんの元を離れてしまっても、マイクロチップが入っていると、施設でチェックした際に識別番号から飼い主さんの名前や住所、連絡先など情報が確認できるため、再会できる可能性がぐんと高まります。迷子対策だけでなく、災害に備えるためにもマイクロチップの装着を考えてあげましょう。
フードと水は最低1週間分以上を備蓄
最後に、非常時に備えて、最低限備蓄をしておきたいものを紹介します。災害時は復旧までどれくらいかかるかわからないので、備蓄量が多いに越したことはありません。とくに、フードとお水は生きていく上で必要不可欠なもの。最低限1週間分は準備しておきましょう。
また、ペットに持病がある場合は、その治療のためのお薬や療法食は災害時に入手することがとても困難になるので、必ず多めにストックを。避難所で生活する場合を見越して、リードとキャリーケースも用意しておきましょう。
○そのほかに備えておくと便利なもの
・簡易トイレ、ペットシーツ
・うんち袋
・折りたたみ式ボウル
・混合ワクチンや狂犬病ワクチンの接種証明書
・飼い主さんや自身の匂いがついた毛布
とくに猫は、上記に加えて猫砂とハーネスも準備したいところです。猫は砂がないとトイレができない子がほとんどなので、猫砂の準備に加え、自分の排泄の匂いがついている猫砂を少量混ぜておくと早く慣れてくれるでしょう。ハーネスは本来、散歩をさせるために使うものですが、猫の場合は避難所など慣れていない環境での生活で脱走を防ぐのに役立ちます。
掃除やお世話のためにケージから出す際には、必ずハーネスとリードを付けしっかり持つようにしましょう。普段から、ハーネスとリードの訓練もしておくと、もしものときに安心ですね。
避難所ではペットOKでも、排泄物の処理や抜け毛など、衛生面に配慮する必要があります。飼い主さん同士で協力や情報交換をし、大切な命を守りましょう。
(Hint-Pot編集部)