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ワカメとネギ みそ汁の定番具材が「残念な食べ合わせ」といわれる理由 栄養士が解説
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教えてくれた人:和漢 歩実
旬の生ワカメが店頭に並ぶこの季節。ネギと組み合わせて、みそ汁の具として活用することもあるでしょう。しかし、実は栄養の吸収で良くない「残念な食べ合わせ」ともいわれています。いったいなぜ、そういわれるのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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みそ汁の具としても定番のコンビなのに?
ミネラル豊富なワカメは、春が旬。ネギとはみそ汁の具として、古くから定番のコンビですよね。しかし、栄養の吸収効率から考えると、意外なことに相性が悪い食べ合わせといわれることが。これは、ワカメに含まれるカルシウムの吸収を、ネギが持つ硫化アリルやリンが妨げてしまうことに理由があります。
硫化アリルとは、独特のツーンとした刺激臭のある辛味成分です。ネギ以外には、タマネギをはじめ、ニンニクやニラなどにも含まれています。血液をサラサラにして、血栓ができるのを防ぐ作用が期待される成分です。疲労回復に役立つビタミンB1の吸収を高める一方で、カルシウムの吸収は阻害するとされています。
また、カルシウムとリンの理想的な摂取比率は1:1。リンを摂りすぎるとカルシウムが吸収されずに排泄されてしまうことから、ワカメとネギを一緒に食べるのはNGだと考えられているのようです。
しかし、硫化アリルは熱に弱い特徴があります。ワカメのカルシウムの吸収率が気になるのであれば、ネギは最後に風味づけとして加えるのではなく、みそを加える前に加えてひと煮立ちさせて、軽く火を通しておくのも良いでしょう。実際、みそ汁の具材であればワカメもネギも少量ですので、リンの過剰摂取をそこまで気にしなくても大丈夫です。
また、相性が良くないといっても体に悪影響を及ぼすことはないので、一緒に食べてはいけない組み合わせということでもありません。
旬のワカメの栄養をいかす食べ方
ワカメのカルシウムの吸収率を高めたい場合は、ビタミンDを多く含むシイタケ、キノコ類も具材として追加することをおすすめします。骨や歯を強くする成分は、カルシウムだけではありません。一緒に摂ることで相乗効果が期待できます。
また酢と一緒に食べると、主成分である酢酸が、ワカメに含まれるカルシウムの吸収を促します。キュウリとワカメの酢の物は代表的ですが、キュウリに含まれるカリウムは体内の余分な塩分や水分を排出してむくみを解消し、酢には疲労回復の効果も。湿度が高くなり、だるく疲れを感じやすくなるこれからの季節にはおすすめですね。
このほかワカメは、体内で必要時にビタミンAに変わり皮膚や鼻などの粘膜を丈夫にするβカロテン、止血のビタミンといわれるビタミンKを含みます。これらは脂溶性なので、油と一緒に食べると吸収率がアップ。ワカメスープにゴマ油を垂らしたり、海藻サラダとしてドレッシングをかけたりして食べると良いでしょう。
ワカメのヌルヌル成分は、水溶性食物繊維のアルギン酸とフコイダンです。急激な血糖値の上昇や、食後の脂質の上昇を抑える健康効果が期待できます。食事の前に食べると、食べすぎを防げるでしょう。
体に良い栄養成分を持つワカメですが、食べすぎには注意が必要です。ワカメに含まれるヨウ素を摂りすぎると、甲状腺腫や甲状腺の機能を低下させてしまうといわれています。逆に、欠乏しても良くないため、1日の摂取量は生ワカメなら8グラム、水に戻した乾燥ワカメなら6グラム程度を目安にしましょう。みそ汁の具材としていただく分には問題ありませんよ。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾