からだ・美容
市販の風邪薬や鎮痛剤 飲んだら飲酒は何時間空けるべき? 内科医が解説
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教えてくれた人:佐藤 留美
忘年会や新年会など、飲酒の機会が増える年末年始。そこで気をつけたいのが、薬との飲み合わせです。とくに、手軽さゆえに市販薬を飲酒前後に飲んでいませんか? その危険性に警鐘を鳴らすのは、内科医の佐藤留美医師。薬と酒が人体に及ぼす影響について解説します。
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飲酒後3時間は薬の服用を避ける
お酒を飲むと、つい気がゆるみがち。「薬を飲み忘れたからお酒で流し込んでしまおう」などと、危険行為はしていないでしょうか。
薬は水で服用することを前提に作られているため、コップ1杯(200cc)程度の水または白湯で飲むのが基本です。ジュースであっても薬の吸収や効果に影響し、アルコールはとくに注意が必要になります。
市販の風邪薬は、処方薬に比べて効き目が弱いというイメージが強いですが、医療機関で風邪と診断されて処方される薬の成分と大きな違いはありません。ドラッグストアなどで簡単に手に入る風邪薬や解熱鎮痛薬であっても、中枢神経に作用します。
そして、アルコールには中枢神経の抑制作用があるため、飲み合わせると認知機能が低下したり、眠気が生じたりするなど、さまざまな症状が現れることがあります。薬によっては、予期せぬ副作用が生じることも。
個人差はありますが、ビール中瓶1本(500ミリリットル)分のアルコールを分解するのに、男性は2時間強、女性は3時間程度かかるといわれています。市販の風邪薬であっても、薬を服用するときは体内でアルコールが分解されたあとに服用することが望ましいです。つまり、3時間以上は間隔を空けて服用するようにしましょう。
また、飲酒中や飲酒後はもちろんですが、「風邪っぽいから飲み会前に薬を飲んでおこう」というのも良くありません。薬を飲んだあとは、飲酒を控えましょう。サプリメントや漢方薬も例外ではありませんので、気をつけてください。
風邪薬と解熱鎮痛剤の飲み合わせは危険
もちろん、お酒だけでなく薬と薬をむやみに飲み合わせるのも危険です。たとえば、風邪薬と解熱鎮痛薬を同時に内服するのはNG。その理由は、成分が重複してしまうからです。
成分が重複してしまうと、効果や副作用が強く出ることがあります。その症状として、食欲不振、胃部不快感、胃痛、悪心・嘔吐などの胃腸障害などが挙げられるでしょう。また、抗ヒスタミン系も含まれていますので、眠気がくることもあります。
年末年始は、休日診療を標榜している医療機関であっても、診察できる医師の数が多くありません。薬について不安なことがあれば、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師を見つけて、日頃から相談しておくことが望ましいでしょう。
(Hint-Pot編集部)
佐藤 留美(さとう・るみ)
久留米大学医学部卒業後、同大学病院や市中病院にて臨床医として研鑽を積む。大学院では感染症学の研究に励み、医学博士号を取得。臨床面では内科・呼吸器・感染症・アレルギーなどの専門医及び指導医となり、同大学関連の急性期病院にてCOVID-19の診療など第一線で活躍中。花粉症や喘息などのアレルギー疾患の診療経験も豊富。その傍ら、現在は藤崎メディカルクリニックの副院長として地域医療にも取り組んでいる。