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食べ合わせの通説 トマトとキュウリはNGって本当? 真相を専門家に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実
今がおいしい夏野菜といえば、トマト。夏を代表する人気野菜で、サラダで食卓に登場することも多いのではないでしょうか。一方でキュウリも、水分の多さから暑い季節に食べやすく、トマトと一緒にサラダにすると赤と緑で彩り良いサラダになります。トマトとキュウリの食べ合わせが悪いとの通説もありますが、なぜでしょうか? 栄養士の和漢歩実さんに伺いました。
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夏野菜の代表 なぜ相性が悪いといわれているのか?
トマトもキュウリも食卓に登場することが多い人気の野菜ですが、まずはそれぞれの特徴(可食部100グラム)について、日本食品標準成分表2020年版(八訂)を基に栄養価などを見ていきましょう。
トマトにはバランス良く栄養が含まれています。代表的な栄養として次が挙げられます。
○トマト(赤色)
エネルギー 20キロカロリー
βカロテン 540マイクログラム
ビタミンC 15ミリグラム
カリウム 210ミリグラム
トマトに豊富に含まれるリコピンは、活性酸素の働きを抑える強い抗酸化作用があり、生活習慣病予防に役立つといわれています。
次にキュウリです。世界で最もエネルギーが少ない果実としてギネス世界記録に登録されるなど、水分の多さが特徴ですが、栄養がまったくないわけではありません。
○キュウリ
エネルギー 13キロカロリー
βカロテン 330マイクログラム
ビタミンC 14ミリグラム
カリウム 200ミリグラム
トマトと一緒に生で食べると良くないという通説は、キュウリに含まれるアスコルビン酸酸化酵素(アスコルビン酸オキシダーゼ)に理由があります。以前はアスコルビナーゼと呼ばれた酵素です。この酵素が、トマトに含まれるビタミンCを変化させ壊してしまうと考えられました。
ビタミンCには還元型と酸化型があります。アスコルビン酸酸化酵素は、還元型のビタミンCを酸化型ビタミンCに変化させます。近年、酸化したビタミンCは体内で再び還元されることが分かりました。つまり、トマトとキュウリの食べ合わせが悪いといったことはありません。同様にアスコルビン酸酸化酵素を含む生のニンジンも、「ビタミンCを含む他の食材と一緒に食べない方が良い」とする通説も、ビタミンCの体内還元から見ると関係性はないといえるでしょう。