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日本の小説がNYの書店で推薦書に 「駐夫」がアメリカで注目度の高まりを感じる理由
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漫画やアニメなど、日本のコンテンツは世界で高い評価を受けていますが、実は小説も近年、アメリカでの注目度が高まっているようです。妻の海外赴任に伴い、ニューヨークで駐在夫、いわゆる「駐夫(ちゅうおっと)」になった編集者のユキさん。この連載では、「駐夫」としての現地での生活や、海外から見た日本の姿を紹介します。第7回は、アメリカで人気を呼んでいる日本の小説についてです。
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太宰治の傑作「人間ではなくなった」
先日、鳥山明さんが亡くなりました。世界中で哀悼の意が表され、改めてその偉大さがわかります。「ドラゴンボール」の作者というのは、文化的な意味において、世界に最も影響を与えた日本人といっても良いのではないかと思います。
日本の漫画やアニメが海外で人気があるのは周知のことと思いますが、小説への関心も高まっています。
たとえば太宰治の「人間失格」は、「No Longer Human」というタイトルで刊行されています。もともとうまい英訳だなと思っていたのですが、ニューヨークに来てから書店でよく目にします。
自国で弁護士をしているペルー人の友人が、本のカバーが表示されたスマートフォンの画面を見せてきて、これを読んでみようと思うんだけどどんな話なのかと聞いてきました。「人間失格」は、若い頃の自分に影響を与えた本です。なので、ぜひとも読んでほしいと思い、あらすじを伝えました。
「ある男の手記なんだ。子どもの頃から自意識過剰で、世間になじめない男が、生活に困窮して人妻の女性と心中未遂を起こす。だけど自分だけ生き残って……」
しかし、話の途中で彼は怪訝な顔をして「それ、本当におもしろいのか」と言い、「ところで、ペルー人の作家の本は読んだことがあるのか」と聞いてきました。
「いや、ない。ラテンアメリカの小説は『百年の孤独』(1982年にノーベル文学賞を受賞。コロンビア出身の作家であるガルシア・マルケスの著書)くらいしか読んだことがない」
そう話すと、「お前、本当に編集者なのか」と言って去っていきました。
その後、彼から「人間失格」を読んだという話を聞いていません。私のつたない説明が原因で、日本の小説の読者を失ってしまったのだとしたら大変残念に思います。