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教えるのは英語ではなく「英会話」 外国人講師が重視する“日常”「間違えてOK」
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日本を訪れる外国人観光客は増加の一途。街中で困っている外国人観光客に話しかけて助けてあげたいけど、言葉が……と躊躇したことがある人も少なくないでしょう。訪日して10年、英会話講師をしているニュージーランド人男性は、異なる言語を学ぶ難しさを知っているからこそ英語を習得したい日本人に伝えたいことがあるそうです。
日本語の難しさは「同じ音なのに違う意味」
ジェイデンさんは18歳のときにニュージーランドから訪日しました。日本での生活は10年になります。
もともとは、ラグビーのスポーツ奨学生制度を利用し、日本の大学で勉強していたそうです。その後5年間、プロのラグビー選手としてプレーしていましたが、コロナ禍でできなくなり、2022年に配信されたAmazon Primeの「バチェロレッテ・ジャパン シーズン2」(以下、「バチェロレッテ」)に出演しました。現在は、オンラインで英会話(English with Jay)を教えています。
「日本語もまあまあ問題なく話せるようになったと自負しています(笑)。先日、ニュージーランドに帰ったときに暑くて、『Hot』の代わりに『あっちぃ~』と言ってしまい、家族を混乱させてしまいました」
すっかり日本語が板についているジェイデンさんですが、日本語の難しさも肌で感じています。
「同じ音なのに、違う意味があるところが日本語の難しいところです。たとえば『いる』だったら『居る』と『要る』があります。こういう同じ音で違う意味の言葉が日本語には多いと思います」
日本語は同音異義語が多いとされるのは、母音が「あ・い・う・え・お」の5音しかなく、子音も13音ほど。英語では、アメリカ英語やイギリス英語などで少し異なりますが、母音は15音以上、子音は24音ともいわれています。
テレビ出演で実感「母国語で話すと心に響く」
そのような英語の複雑な発音からすると、日本語はシンプルに思えますが、使用する文字は世界共通のアルファベットではありません。ひらがな・カタカナ・漢字の使用は、外国人にとっては難しく感じる一因かもしれませんね。
「テレビ出演のときも思ったのですが、思いを伝えるためには、その人が頭で理解できる言葉ではなく、その人の母国語で伝えると心に響くんだなということがわかりました」
「バチェロレッテ」では、母国語ではない日本語で一生懸命に思いを綴った手紙を渡すなどしたジェイデンさん。その温かい人柄が画面を通じて伝わってきたほどでした。
英語を学びたい日本人に伝えたいこと
現在、オンラインで英会話を教えているジェイデンさんには、自身が日本語習得の際に苦労したからこそ、英語を学んでいる日本人に伝えたいことがあるそうです。
「僕はオンラインで英会話を教えていますが、「『英語』ではなく『英会話』を教える、というスタンスです。なぜなら教科書で学ぶような文章は日常生活で通じないことが多いのです。日本でも有名な文章がありますよね? 『This is a pen.』 こんなの一生で一度も使うことはありませんよ(笑)!」
自身も大学の授業で学んだ日本語を日本人の友人に使っても、まったく通じなかった経験があったとか。実際に使われている“生きた”英会話を教えるように心がけています。
英会話は「間違いのレベルも自然とアップしていく」
ただ、日本生活10年になった今でも日本語を間違えることがあるそう。それでも、それは言葉を学ぶうえで大切な経験だと豪語します。
「僕の英会話レッスンでは間違いも絶対に責めないし、恥ずかしがらずにむしろもっと間違えてもOK! というスタンスです。なぜなら、生徒さんは気がつかないかもしれませんが、間違いのレベルも自然とアップしているからです」
間違えるのは恥ずかしいと日本人は思ってしまいがちですが、そんな些細なことよりも、異なる言語でコミュニケーションを取れるほうが価値があるとジェイデンさんは考えています。
「いつか子どもができたら、英語と一緒に日本語も学んでほしいと思っています。将来の選択肢が広がりますからね」
英語と日本語、両方の言葉を操ることができるジェイデンさんの言葉には重みを感じられます。もし街中で困っている外国人観光客がいたら、間違えをおそれることなく話しかけてみてはどうでしょうか。
(Hint-Pot編集部)