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更年期世代がキノコを食べるべき理由 相性の良い食材とは 栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

秋の味覚、キノコ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
秋の味覚、キノコ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 猛烈な暑さもやわらぎ始め、秋の到来を感じるようになってきました。実りの秋は食べ物がおいしい季節ですが、なかでも秋の味覚を代表するキノコは栄養が豊富。骨の健康や便秘などが気になる更年期世代にとっては、食卓に欠かせない存在です。栄養や相性の良い食材などについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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キノコの優れた3つの栄養成分とは

 キノコとは、真菌類が作る糸状の菌糸が集まり、塊になったものです。近年は人工栽培の技術革新が進み、通年さまざまな種類のキノコを楽しむことができますが、天然ものがおいしい季節は秋です。シイタケやシメジ、マイタケ、エリンギ、エノキダケなどがあります。

 エネルギーは低いですが、さまざまな栄養が詰まっているキノコ。更年期世代にうれしい栄養成分を3つ挙げるとしたら、ビタミンD、ビタミンB群、食物繊維です。それぞれを説明していきましょう。

○ビタミンD
 カルシウムの吸収を助け、骨の健康を維持するために欠かせない脂溶性ビタミンです。とくに更年期は、エストロゲンの減少によって骨密度が低下しやすくなり、骨粗しょう症のリスクが高まるので、積極的に摂取すると良いでしょう。キノコのなかでも、マイタケに多く含まれます。

○ビタミンB群
 更年期は、筋肉の減少から基礎代謝やエネルギー代謝が低下し、疲労感が増すといわれています。ビタミンB群は、糖質、脂質、たんぱく質のエネルギー代謝の補酵素であり、エネルギー生成をサポートする働きが。また、神経伝達物質の合成に関わるため、精神的な安定を保ち、更年期特有の気分の浮き沈みや不安感の軽減に寄与することが期待されています。水溶性のビタミンです。

○食物繊維
 腸内環境を整えて、ホルモンバランスの乱れからも起こりやすい便秘解消に役立ちます。また、血糖値の安定やコレステロール低下にも寄与するので、生活習慣病などが気になる更年期世代には欠かせない栄養成分です。とくにシイタケに多く含まれるβグルカンは、免疫機能を強化することで近年注目されている成分でもあります。

キノコの栄養を生かす 効率良い食べ方、合わせたい食材

 キノコは旨味がたっぷりとあるので、どんな料理にも合います。更年期世代が気になる骨の健康、疲労回復、便秘の解消の3つの視点で考えるならば、次の食材と合わせて摂取すると、より効果的にキノコの栄養メリットを摂取できるでしょう。

 たとえば骨の健康を考えるならば、キノコのビタミンDを生かし、カルシウムを多く含む魚や豆腐などの大豆製品、牛乳やチーズなどの乳製品、小松菜などの野菜と合わせてカルシウムの吸収率をアップさせましょう。豆腐に小松菜、シラスなどと一緒にトッピングしても手軽です。脂溶性なので、キノコをバターやオリーブオイルなどでさっと炒めると、ビタミンDの吸収率がアップします。

 エネルギー代謝を促進し、疲労回復のためにビタミンB群を生かしたいのならば、ごはんやパンなどの主食に肉や魚、大豆製品などたんぱく質を主成分とした主菜を意識して、キノコと組み合わせると良いでしょう。いつもの肉や魚料理に電子レンジで加熱したキノコを添えるだけで、エネルギー代謝も栄養価も高まります。あるいは、納豆やキムチなどの発酵食品と一緒に和えても。食物繊維との相乗効果で、便秘解消に役立ちます。

 ビタミンB群は水溶性なので、キノコとさまざまな具材を合わせて、スープやみそ汁、鍋料理にして汁ごと食べるのがおすすめです。調理も簡単で栄養を逃さず、体が温まりますよ。

 季節の変わり目は、体調を崩しやすい時期。実りの秋の食材を生かし、食事からしっかりサポートしていきましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾