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在米23年目の日本人ママ 「イライラするより笑っているお母さんでいたい」 アメリカでの子育てでぶつかった壁

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

家庭内は英語で一本化 イライラしているより笑っていたい

長女・エリカちゃんと生まれたばかりの次女・アシュリーちゃん【写真提供:シノブ】
長女・エリカちゃんと生まれたばかりの次女・アシュリーちゃん【写真提供:シノブ】

 もともと横須賀基地で働いていた前夫は、日本にいながらも日本語が必要ない生活でした。そのため、家庭内の会話は英語。ただ、シノブさんがエリカちゃんと一対一で向き合うときは、基本的に日本語を話し、アメリカ移住後もそれは変わりませんでした。

 しかし、エリカちゃんが幼稚園などアメリカ人コミュニティの中に入る機会が増えていくと、シノブさんとの会話も自然と英語が優勢に。当初は、日本語も理解できるように日本語で本の読み聞かせをするなど努力したシノブさんですが、同時に大きなストレスになっていきました。

「国際結婚でのお子さんに一生懸命、日本語を教えている親は多いんですが、なかなか簡単ではないんです。生活や仕事もあるなかで日本語を教えなければいけない、日本語を直してあげなければいけない――言い訳になってしまうかもしれませんが、お金も時間もないなかで、そういうことにイライラしてしまったんです。

 それならイライラすることをやめようって。イライラしているお母さんより、毎日笑っているお母さんのほうがいいだろうと思ったんです」

 そうして、家庭内での日本語はきっぱりやめました。第2子以降、シノブさんが一対一で子どもと向き合う時間もすべて英語に。笑顔が絶えない母の愛情をたっぷり受けて、3人の子どもたちは仲良く、のびのびと育っていきました。それでもシノブさんのなかでは、日本語に関して「みんなと一緒じゃないといけない、日本のおばあちゃんに申し訳ない」という気持ちもあったといいます。

 エリカちゃんは、幼い頃のシノブさんとの会話で、今でも小学生レベルの日本語での会話が可能です。年に1度、日本に行ってシノブさんの家族と話すときは、次女・アシュリーちゃんや長男・ショーンくんにエリカちゃんが通訳することも。身振り手振りを交えて伝えたり、今では翻訳アプリを利用したりするなど、シノブさんがいないときでも日本の家族とコミュニケーションを図っているそうです。

イギリス人と再婚 YouTubeチャンネル「Brasians」の由来に

 そんな3人の子どもたちと一緒に、シノブさんはYouTubeチャンネル「Brasians」で日常を発信しています。「Brasians」とは、イギリス人「British」とアジア人「Asians」を合わせた造語だそう。

 シノブさんは子どもたちの父親と2011年に離婚し、2013年に現在の夫であるアメリカ在住イギリス人・アンディさんと再婚。アンディさんはYouTubeには登場しませんが、ときどき声だけ“登場”するなど、家族全員で楽しみながら運営しています。

 次回は、日本とアメリカで出産を経験したシノブさんに、両国での出産事情などを伺います。

◇シノブ・フィリップス
日本で大学を卒業後、オーストラリアへ2年留学。帰国後にアメリカ人と結婚し、長女・エリカちゃんを日本で出産。2002年にアメリカ移住。次女・アシュリーちゃん、長男・ショーンくんをアメリカで出産。2011年に前夫と離婚、2013年にアメリカ在住イギリス人のアンディさんと再婚。YouTubeチャンネル「Braisians」やポッドキャスト「毒舌アメリカンライフ」を運営中。

(Hint-Pot編集部)