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49歳で出産の小松みゆき、共働き推奨は「女の人に負担を増やしすぎ」…実の母による育児置き去り「何のために産んでるの」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム・水沼 一夫

3歳の娘を育てる小松みゆきさん
3歳の娘を育てる小松みゆきさん

 日本はどうして子どもの数が増えないのでしょうか。昨年、日本人の出生数は初めて70万人を割る見通しになりました。2023年には岸田政権が「異次元の少子化対策」を打ち出したものの、歯止めをかけるにはほど遠く、日本の子どもは右肩下がりに減る一方となっています。子どもを産みやすい社会になるためには何が必要なのでしょうか。7年に及ぶ不妊治療の末、49歳で第1子を出産した俳優の小松みゆきさんに話を聞きました。

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「共働きの推進」で「少子化の解消」は実現する?

「女の人に負担を増やしすぎだと思います。少子化対策のためにも結婚出産を強く促されながら働くことを推奨されています。多くの家庭では家事育児を主に担ったままで、です。育児はすごく大事なものって私は思いますし、本当は皆さん預けたりせず、できれば自分の手で日々の成長を見守っていきたいっていうのが本音だと思うんですよ。それを人の手に委ねてまで、女の人に働けって言ってること自体もおかしな話。このままの政策では育児がないがしろにされているように感じます。人を育てることは結局は社会にどんな人間を送り出すかというところにつながると思うので」

 小松さんはこう話し、日本の将来を憂いました。

 子どもを長年望み、7年にわたり不妊治療を行ってきました。顕微授精は14回以上。45歳のときに採卵した卵から受精・妊娠し、2021年に49歳という超高齢で出産しました。昨年4月からは3歳の娘を幼稚園に通わせています。

 自身は第二次ベビーブームの1971年生まれで、同じ年に生まれた赤ちゃんは200万人に達しています。それが2024年は70万人を下回ることが確実視されています。たった半世紀で、130万人超の減少。日本にとって少子化はまさに緊急事態と言える問題です。

 いったい、なぜこうなってしまったのでしょうか。

 日本には戦後、2度のベビーブームがあり、人口が急激に増えた時期がありました。しかし、小松さんは、「戦後だったからこそ増えてた昭和20年代の人たちの人口を基準にしちゃいけないと思うんですね」と指摘し、ベビーブーム以外の時期に目を向けました。

 日本の少子化は急に進んだように言われていますが、実は第二次ベビーブームが終わった1974年から2024年まで、微増の年も若干はあるにせよ、日本の出生数は下降線をたどっていることが分かります。80年代から90年代にかけては30万人ほどダウン。「人口が減ってくのは目に見えてたのに、これを読める人が日本の政治家にはいなかったのでしょうか」と政治の失策を嘆きました。

 さらに小松さんが女性への影響が大きかったとしたのが1986年に施行された「男女雇用機会均等法」です。

「私は子どもを産んでから、もっと前からあったらよかったのにって思っているのが今の東京都の政策なんですよ。今年から0歳から保育料が無償化になりますよね。こういう考え方をなんでもっと早くできなかったのかなって。(子どもが減って)すごいギリギリの状態になってから、共働きしてほしい、女の人に出ていけ働けって言ってますけど、男女雇用機会均等法が出た頃に今、東京都が出している政策を全国でやるべきだったと思っています」

 女性の社会進出が進めば、一時的にキャリアを止めることになる結婚・出産に対する考え方はこれまでとは変わります。それをフォローするような施策があればよかったですが、保育園など育児サポートの整備が遅れたため、結果的に仕事を続ける女性が増加し、人口が減り続けたというわけです。

「あの頃は働く法律を主に整理して、人口を増やすことに関しては何も考えられていなかった。制度として出産育児を応援するものは作られなかった」と続けました。